ネットに拡張しはじめたテレビを、どうとらえるか?!(3月にセミナー2つ開催します!)

テレビはオワコンだと言われる。テレビはレガシーメディアに分類されている。若者はテレビを見ない。それはまったくその通りだ。

だが一方で、こんな話がある。

ある若者と話していた。彼はテレビを持っていないという。
彼が所属する会社は、テレビの情報をもとに新しい事業を創出しようというベンチャーだった。テレビを見てないのはまずいんじゃない?と、からかう気持ちでこう言った。

「じゃあ、テレビ見てないんだね」ところが、彼は逆にこう言った。
「いや、でもテレビ好きです!『アメトーーク!』毎回見てます!」
「え?だってテレビ持ってないんでしょ?」
「持ってないですけど、テレビ見てます!」と言いながら彼が差し出したのはスマートフォンだった。

P1020118※写真は再現です

私はいささかのカルチャーショックを受けた。スマートフォンを差し出して「テレビ見てます!」と勢いよく言ってのけるのだ。だが彼からすると自然なことなのだろう。彼にとってはテレビ受像機ではなく、スマートフォンでYouTube上の『アメトーーク!』を見ることが、”テレビを見る”ことなのだ。

テレビは見られてない。だがテレビは見られている。そんな不思議な現象がいま起こっている。テレビとはそもそも、テレビ局が製作したテレビ番組をテレビ放送によってテレビ受像機で受信してリアルタイムで視聴するものだった。そのためにすべてが整えられているはずだった。だがいまや、タイムシフトで視聴したり、テレビ放送ではなくネット経由だったり、誰かが違法にアップロードした動画共有サービスだったりで視聴されている。

テレビ離れとよく言われるが、テレビ番組から離れたというより、”放送”という形態から離れたのだ。面白い番組は、録画やネットでかなりの量が見られているようだ。面白い番組は、見られる。だって面白いのだから。

だが難しいのが、テレビ局のビジネスモデルは、テレビ放送によってテレビ受像機でリアルタイム視聴されないとお金にならないようにできている。そこをお金にする仕組みを60年間かけてこってり重厚に築き上げてきた。だからタイムシフトやネット視聴に簡単に対応できない。だが躊躇していると若者にまったくアクセスできない存在になりかねない。だからマネタイズが明確になってなくても少なくともネットには出なければ。この二年間くらいでようやく、そこだけはテレビ放送界で共通認識になったように見える。

そんな背景を反映させたセミナーを、3月の上旬と下旬にそれぞれ私の企画で開催することになった。

まず、SSKセミナー。新社会システム研究所という、多様な領域でセミナーを開催しているところで、私がコーディネーター役となり、パネルディスカッションを3月3日に開催する。題して「テレビは見られているのか?いないのか?」。テレビ受像機でのリアルタイム視聴からはみ出し、ネットなどに拡張しはじめたテレビの有り様を、できるだけ生々しく解明してみたいと考えている。

電通総研、博報堂メディア環境研究所、ビデオリサーチ、インテージ。それぞれ、メディアと人びとの関係についてデータを出したり研究したりしている。それぞれのフレッシュな面々に登壇をお願いした。他のこの手のセミナーではなかなか見ない組合せで、ユニークなセッションが展開できそうだ。

詳しくはこちらで。SSKセミナー「テレビは見られているのか?いないのか?」

もうひとつは、JAM日本マーケティング協会。マーケティング業界を軸に多様なセミナーを開催するJMAと、私が運営するMediaBorderとのコラボレーションで、「MediaBorderプロジェクトセミナー2016」を今年展開することになった。
その第一弾として「拡張するテレビ、動画化するネット〜見えてきたテレビとネット・融合の実際」という企画が実現した。3月25日の開催だ。

詳しくはこちら。Media Borderプロジェクトセミナー2016 拡張するテレビ、動画化するネット「見えてきたテレビとネット・融合の実際」

今年はこうしたセミナーを随時、次々に企画していくつもりだ。みなさん、ぜひ、おいでください!

※筆者が発行する「テレビとネットの横断業界誌Media Border」では、放送と通信の融合の最新の話題をお届けしています。月額660円(税別)。最初の2カ月はお試しとして課金されないので、興味あればご登録を。同テーマの勉強会への参加もしていただけます。→「テレビとネットの横断業界誌 Media Border」はこちら。購読は「読者登録する」ボタンを押す。

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