世界は変えられる。立ち上がれ!と力まなくても、変える方法を知ればいい〜Changemakers Academy〜

「赤ちゃんにきびしい国で・・・」を書いて以来、開設時の趣旨であるメディア論からどんどん外れていくこのブログ。今日はchange.orgのイベントの紹介だ。

そもそも先日、『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない』の出版記念イベントが紀伊国屋書店新宿南店で開催された。その時、対談相手にお招きしたのが治部れんげさん。ご存知と思うが、例えば日経DUALで「怒れ!30代」という怖〜いタイトルの連載を書いておられる気鋭の女性ジャーナリストだ。

〜日経DUAL「怒れ!30代」バックナンバーページ〜

しかしお会いすると連載タイトルのイメージからは程遠い、気さくで話しやすくまたバランス感覚に優れた女性だった。(紀伊国屋書店でのイベントについてはまた来週あたり書こうと思う)ぼくとしては勝手に意気投合できた気分なのだが、治部さんもぼくを面白がってくれたのか、いろいろ巻き込んでくれるようになり、誘われたのがchange.orgのイベントだった。

この3月22日(日)に「Changemakers Academy プレイベント」が開催されるので、あんたも出ないか、と言うのだ。

「社会を変える第一歩を学ぼう」Changemakers Academy 〜プレイベントのご案内〜

イベントページを見てみると、また美しくも勇ましそうな女性たちが登壇する催しで、こんなおっさんが出ても浮きそうだなあ、でも光栄だしなあ、と悩んでいたらこの日は東京にいないことに気づいた。そこでイベントには書籍の編集者、中岡祐介を推薦することにし、本のアピールの機会にもなるしと本人も納得させることに成功。それにしてもchange.orgってよく聞くんだけど、ご挨拶もかねて行ってみよう!というわけで、中岡くんとともに行ってみることにした。

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到着すると、change.orgのお二人が迎えてくれた。写真の左が日本代表のハリス鈴木絵美さん、右が広報を担当する武村若葉さん。ほぼ二人だけで運営している。武村さんはおめでたいことに妊娠中で、予定日まであと数カ月だそうだ。真ん中に我らが中岡くんが気恥ずかしげに写っている。見ているぼくも恥ずかしいなあ。

change.orgについてはかなり前からいろんなところで記事になっているので、みなさんご存知だろう。ここでももうあまり説明はしない。

でも、直接お会いして面白いと思った点がある。change.orgの本国アメリカの設立者は、当初新たなSNSのつもりで起ち上げたのだそうだ。結局は署名を集める機能に特化していくわけだが、もともとがSNSだから誰でも使うことができる。使うのに審査はないのだ。change.orgが選んだ署名活動が載っているようなイメージがあるかもしれないが、そうではない。

だからどんな署名活動が始まっても「基本的には削除しない」方針だが、もちろん違法な活動の呼びかけは削除するし、差別的な内容のものも削除する。

〜change.orgのFAQ中の削除に関するページ〜

つまりchange.orgそのものに特定の政治的なメッセージがあるわけではない。メッセージがあるとすればそれは「あなたにも世界を変えることができる」ということだろう。

実際に過去にも、以下のような成功事例があがっている。

●都議会セクハラ野次に9万人が立ち上がる!

●レスリング、復活

●上智大学、休学費を減額

都議会セクハラ野次の件では、驚くほど早く多くの署名が集まったのを憶えている人も多いだろう。change.orgならではのスピードだったのだ。

さて3月22日の催しは5月からスタートするChangemakers Academyのプレイベントだ。その名の通り、社会を変えたいという人に向けた講座を開設するというのだ。

自分の主張を世の中に訴えて具体的な活動を続けるには、どうやって仲間を集めてチームを運営すればいいか、声を大きくするためにソーシャルメディアをどう使いマスメディアとどうつきあえばよいのか。カリキュラムを見るとかなり実践的な内容を学べる講座のようだ。

ぼくがこの講座についていちばん大事だと思うのが、「普通の人」が方法論を学ぶ場である、という点だ。

世界を変える、世の中を変える、というとえらい人にならなければいけない気がしてしまう。スティーブ・ジョブズのように起業しなければ?オバマのように大政治家にならなければ?世界は変えられないのだろうか。

そうではない、とこのプログラムは言っている。

社会を変えたい、という人々の声を、世の中に広め、確実な成果に変えるのは、カリスマ性のあるリーダーではありません。誰もが学び実行できるノウハウを身につけ、普通の生活を送る私たちができることから行動に移すことです。

Changemakers academyのプログラム趣旨には上のような一節があり、ぼくは大いに賛同したい。もちろん、何か偉業を成し遂げるには人生のすべてを注ぎ込まねばならないだろう。でも一方で、穏やかな生活を営みながらできることもたくさんあるのだ。

ぼくの本を通じてメッセージを交わしたある女性が、お子さんを通わせる施設についての要望を、署名を集めて市議会に提出したら、行政側も動きはじめたのだそうだ。これは小さなことだろうか?少なくとも彼女にとっては大きなことだろうし、彼女の思いきった活動に助けられた人もいるはずだ。

世の中を変えることをあまり大袈裟にとらえずに、おかしいと思ったこと、こうなればいいのにと感じたことを、率直に世の中に訴えていけばいい。生活を投げ出さなくてもできることはたくさんあるし、そのための手法を手に入れれば、いまはいろんなやり方があるのだ。change.orgの今回の講座はそのメッセージを形にしていくものだと思う。

ぼくが若いころ、80年代まで「世界を変える」ためには、ハチマキ締めて団結してプラカード立てて「立ち上がれ!」とか力んで言わなきゃいけなかった。それがために多くの若者は「世界を変えるってダサいじゃん」「世界を変える人は変わった人」とシラけちゃって六本木のお立ち台に逃げていってしまった。それから30年、ソーシャルメディアが「世界を変える」を普通にしようとしている。誰だってぼくだってあなただって、おかしいと思うことはおかしいと言えばいい。言うツールはあるし、広めるやり方はあるし、集う手だてはいろいろある。だから、言えばいいのだ。

興味ある人は、このプレイベントだけでなく、5月からのプログラムそのものに参加してみてはどうだろう。踏み出してみることがまず、世界を変える第一歩になるかもしれない。

→changemakers academy 概要ページ(後半に応募フォームへのリンクがあります)

ところでこのブログ、今回から「クリエイティブビジネス論」と「赤ちゃんにやさしい国へ」とページを分けています。こっち方向の文章は「赤ちゃんのやさしい国へ」の記事として扱うことにしました。その作業も、そもそものこのサイトの制作も柴田しゅんめい氏のSTUDIO MOUNTにお願いしました。サイトを見てもらうと、ぼくよりさらに年上のアートディレクターとは思えない若々しさ!ご本人のキャラはいたって普通に森進一の真似とかするおっさんです。

→STUDIOMOUNTのWEBサイト

※このブログを書籍にまとめた『赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずがない』(三輪舎・刊)発売中です。

→取り扱い書店はこちら <三輪舎・扱い書店リスト>
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コメント

  1. 初めまして。角川書店で、働くママほ本音をまとめ、悩んでいるのは一人ではないと、ラクにする本を編集担当した岸本と申します。『リーママたちへ』『リーママザベスがあなたを救う!』の2冊です。男性社会の中で、この本の趣旨を社内でも理解してもらえず、売り伸ばすことに苦戦していますが、読んでくださった読者からは、涙涙の感動メールをいただいています。境さまの「赤ちゃんにきびしい国で、赤ちゃんが増えるはずない」というコピー、大変に素晴らしいと思いました。「赤ちゃん」を「働くママ」に変えれば、今の私の思い、そのものです。どうか、一度、お会いしたいと思います。お忙しいと存じますが、ご検討よろしくお願いいたします。

    1. こんにちは!リーママの田中さんには先日お会いし、近々このブログでも書こうと思っていたところです。ぜひお会いしましょう!メールいたします!

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