企業と人びとのつきあい方が狩猟から農耕になるのではないかと思ったりなんかしてみる

先週、ある宣伝部の人とあるアートディレクターと三人で話していて、示し合わせたかのように三人で同意できたことがあった。

商品の登場時にどかんとメディアを使って広告予算を使いきるんじゃなくて、そこはそれなりに予算投下しつつ、商品登場後もその評判を見ながら臨機応変に施策を企画していくべきだよねー、とそんな話になったのだった。

逆に言うとこれまで、”広告”とは商品が出た時とかリニューアルの時とか繁忙期とかにどかんとやらかすものだった。短期的にいかにマスなインパクトを与えるかが焦点となった。だから俄然、テレビCMが中心になっていた。

もうそうじゃないんじゃないか。

いや、テレビCMがいらなくなったとか言いたいんじゃない。むしろ必要。だけど、意味合いが違う。中心じゃなくて、一部。

とかなんとかもやもや考えていたら、そのもやもやをかなり整理してくれる記事に出会った。ITメディア・マーケティングで連載されている「変わる広告会社」というシリーズ。その中の「テクノロジーが広告会社とクライアントの関係性を変える」という記事だ。

テクノロジーとか、境はそんなのちんぷんかんぷんだろうよ。そう思うだろうか。そこだけとれば、ぼくもそう思うよ。でもこの記事、テクノロジーがポイントではなく、テクノロジーが入口となり広告業界が大きく変わろうとしているよ、というそこがポイントなの。

デジタル広告がテクノロジーを広告界に持ち込んできて、それがデジタルだけでなく広告全体を変えようとしているよ、ということ。記事の中の最重要な箇所が、ここ。
—————————-この部分、引用です——————————
広告会社は、これまでのような「広告キャンペーン型」から「運用型」へその業態を早急に変化させる必要に迫られた。このことは、デジタルテクノロジーに始まった小さい変化が、「クライアントと広告会社」という受発注の関係を変化させ、(ビジネス)ゴールを共有する「ビジネスパートナー」という関係性に変化したことを意味する
————————————————————————–
とくに前半の「広告キャンペーン型」から「運用型」へ、という部分ね。これがさっき書いた、商品登場時にどかーん、から、少しずつ臨機応変にね、という考え方と呼応している。

デジタルが変えたのだろうし、テクノロジーが変えたのでもあるだろう。でも、もうひとつ、少し前にぼくがここで書いた「ぼくたちはどうして消費に冷めてしまったのだろう」の記事にあることもすごく関係すると思うよ。広告キャンペーン型は、消費大好き時代に有効だった。だって「ほら!見て見て!聞いて聞いて!こんな素敵な商品が出たよ!」と大きな声で言うのが「広告キャンペーン型」だからね。それは消費大好き時代には「ほんと?どんな商品なの?へー!よし、買ってみよう!」とさっそく反応があるからすごく効く。

でもいまは「あ、そう、そんなの出たんだ、ふーん・・・え?おれはいいよ、それは。必要じゃないもん」と言われてしまう。

それより、小さく少しずつ優しく柔らかにコンタクトしていくことが重要。さらに、ファンを地道に育ててその人たちから勧めてもらう方がよほど効く。

「運用型」はだからソーシャルメディアも大事になってくる。じわじわ、コツコツ、接触していくのだ。その効果はすぐには出ない。じわじわ、コツコツ、出てくる。ある日気づくと、あれ?なんかたくさんの人がいるね、商品の近くに。そんなことになる。

キャンペーン型と運用型の違いは、日本の歴史でいうと縄文時代と弥生時代ぐらいちがう。キャンペーン型はとにかく短期的に消費者を狩るようなもので、狩猟型と言える。後先考えず、とにかくいま売れる相手に売れるなら売れー!と、勢いだけで掛け声をかける。つまり縄文時代。

運用型は、言わば農耕だ。種を蒔きますよ、苗を植えますよ、暑くなって育ちますね、肥料もあげましょうか、雑草も抜きましょうね、秋になったのでいよいよ収穫ですね、ありがたいですね、収穫のお祭りしましょう。そんな感じ。根気いるけど、計画的でもある。農耕みたいで、弥生時代みたい。

マーケティングはようやく、原始的な狩猟の時代から、文明的な農耕の時代に入ったのかもしれないぜ。

上で引用した部分にはもうひとつ、受発注じゃなくてパートナーにならなきゃね、ということも書かれていて、これがまた大事。重要。

この受発注がね、広告業界の悲哀となっていた。昔、「気まぐれコンセプト」という漫画で広告会社の営業マンがクライアントの靴なめたりもっとすごいとこなめたりする、という話がネタになっていた。あながちウソでもない関係が、クライアント企業と広告代理店の間にはあった。

クライアントから受注されてへりくだる分、発注する立場になると”代理店だぜ!”とばかりに上から見下ろして制作会社とかにえらそうにしていた。

そういうの、もうおしまい。

クライアント企業も、広告会社も、制作会社も、みんなパートナー。対等。そんなスタンスじゃないとお互いダメになっちゃうよ。運用型とは、そういう関係の中ではじめて進められるもの。

そこんとこ、みんなわかっとこうぜ。企業も、広告会社も、そこから仕事を引き受ける多様な会社も、わかっとこうぜ。

わかってる?・・・うーん、わかってない感じの人、多いなあ。それだとやっていけなくなるんだけどなあ・・・

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