テレビはもっと便利になれるか〜週刊アスキー「テレビちゃん気をつけて」by 遠藤さんを読んで〜

テレビの未来を考える上でいまや欠かせない存在なのが、角川アスキー総研の遠藤諭さんだ。遠藤さんと言えばネット側の人で、ITガジェットを語ったり、ネットの未来を語る人のイメージが強いし、実際根城はそっちなのだろうけど、そんな遠藤さんがネットを語る上でもテレビは外せない要素になっているということだろう。

週刊アスキー4/23号の巻末連載「神は雲の中にあられる」

その遠藤さんは自社媒体的な週刊アスキーに連載を持っていて、最新号でテレビについて書いていた。と、ご本人のつぶやきを見て、さっそく買って読んだ。なにしろ、いまテレビを語る上で遠藤さんの言動は追っておかないといけないのでね。

その中でこんなことを言っている。「テレビが抱える最大の課題は、ウォッチする装置としてのUX(ユーザーエクスペリエンス)が、少しも大げさでなくダメすぎる」その表れとして、角川アスキー総研のデータでテレビ録画に関するものをあげている。最近、テレビがレコーダー機能を内蔵するものが増えている。外付けレコーダーと使い方を比較すると面白い。外付けレコーダーでは世代で格差があり、10代と40代の利用率が他より明らかに高い。ところが内蔵型だとその差異がほぼなくなる。つまり、内蔵型の方が使いやすいので誰でも録画できるようになったと。UXがわかりやすいと利用度が高まるというわけだ。

これをもってして遠藤さんは、テレビは強いメディアなので使いやすくなればもっと見てくれるだろう、というようなことを主張しているのだった。

言われて思い出したのが、BS新局のことだった。去年(2012年)3月から、BS局が一度に7局誕生したのを知っているだろうか。その頃の記事を読めばパッとわかるので詳しくはここをクリックしてください。ディズニーの無料放送DLIFEが話題となったが、他にも有料でスポーツや映画のチャンネルが放送を開始した。そしてDLIFEを含めて大苦戦している。

なぜだろう。まさしく、わかりにくいからだ。

これらのBS放送を観るには3ケタのチャンネルを選ばなければならない。その時点で失敗決定だろう。7つの局の3ケタのチャンネルを誰が憶えると言うのだろう。いや、問題はそこではない。ぼくたちはテレビのリモコンでBS放送の3ケタの数字の入力方法を知らない。IMAGICA BSという映画チャンネルがch252だとメモでもしたとして、リモコンを手にはたと立ち尽くすことになる。ええーっと?この数字をどうすればいいんだ?

さらにさらに、例えば(古巣グループなのでとりあげやすいのだけど)IMAGICA TVは有料で月630円なのだそうだ。その時点で、どんな映画やってるのかもわかんないのに600円も払うもんか!と思うだろう。

さらにさらにさらに、その630円はどう払うのか。スカパーに加入して、スカパーの課金システムを通して払うのだ。なんじゃそら?その上、スカパーの基本料金410円がまたかかる。

つまり、スカパー未加入の人がIMAGICA BSを観るには実質1000円以上かかるのだ。バカにしとるんかい!

放送って恐ろしい事業だ。みんな、放送は儲かると思っている。いまはそんなことないかな、でも少し前までホントにみんなそう思っていた。

なぜ放送が儲かると思ってしまったのか。地上波テレビが大成功したからだ。その特異な例をもってして、放送は儲かる!とみんなが勘違いしてしまった。はじめさえすれば、ウハウハだぜい!と信じ込んでしまった。だから、新しい電波が売りに出されると、ハイハイハイ!と手を上げてしまう。その際、どう課金するか、それはユーザーにとって利便性があるか、検討もしない。だって放送は儲かるからさあ。

放送はかくして、UXとは無縁でチャンネルをどんどん増やしてしまった。はっきり言ってもはや時代遅れだ。せめてUXを考えた方がいいのに。

ところで、遠藤さん率いる角川アスキー総研は、経産省の次世代テレビの施策提言のための調査をかなりこってり行い、提言にも深く関わっているようだ。詳しくはここをクリックしてみよう。このレポートはちょっと深く追ってみたい。何回かに分けて、この中身をぼくなりに読み解いてみたいと思う。

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