震災の影響、だけではないみたい〜2011年の興行収入、前年比18%ダウン〜

2011年の映画興行に関するデータが発表された。

これは毎年この時期に、日本映画製作者連盟という団体が発表するものだ。このリンクから、最新の統計資料を見ることができる。

去年も同じ時期にこのブログで書いている。「2010年の映画界の統計資料が発表されたよ」というタイトルで書いたこの記事だ。”何らかのターニングポイントな気がする”と結んでいる。2011年の結果は、ある意味その通りだ。とは言えここまでの数字を予想できていたわけではないけど。

何しろ、東日本大震災があったからね。

この数字は、すでに11月にはある程度の見込みが出ていた。ブンちゃんの予測レポートをもとに、このブログでも記事にしている。

さて2011年の数字はどう捉えればいいのだろう。全体の興行収入が1811億円。内訳は、邦画が995億円、洋画が816億円。そこだけ見ても受け止め方がわからないよね。だから、上のグラフを見てみよう。

緑の折れ線、つまり興行収入全体がくいっと下に折れている。それに合わせて、青い折れ線(邦画)と赤い折れ線(洋画)もくいっと折れている。つまり、映画全体がくいっと下降してしまったのだ。

もうちょっと長期的な視点で見ると、緑の線は2001年からずっと大きな変動がなく2000億円を中心に小さく変化していただけだ。それが2010年にくいっと上に折れている。2000億円が2200億円にくいっと10%も水準が上がった。そしてそれが2011年には18%くいっと下がった。

せっかく前の年に水準が上がった気がしてたのに、去年は逆に水準が大きく下がってしまった。これがひとつ目の読み取りポイントだ。

もうひとつ、読み取りポイント。それは邦画と洋画の比率だ。

2001年から2005年の邦画と洋画の関係を見てみると、西高東低、いや洋高邦低。日本映画は外国映画つまりハリウッド映画にまったくかなわない、そんな感じだった。

それが2006年からグチャグチャっとしたあと、この数年は邦画の圧勝だった。それが2010年は差が縮まったのだけど、2011年は共倒れな感じだ。洋邦の差なんてどうだっていいじゃん、どっちも下がったじゃん。そんな感じ。

どうしてこんなにくいっと下がったかといえば、もちろん震災の影響だ。3.11以降、被災した三県では映画館が長期間開けなかったし、東日本全体で点検などで稼働できなかった映画館は多い。くいっと下がるのは当たり前だ。

だが、震災の影響だけでもないようだ。夏休みの書き入れ時も、クリスマスから正月にかけても、ずーっとくいっと下がっていた。今年は年中、2割減だったのだ。

何か大きく潮目が変わったのかもしれない。この15年間、映画界は、テレビの力で新たな局面を迎え、日本映画としての力を持つようになりやがて国内ではハリウッドより客を呼べるようになった。

そんな15年間が、終わったのだ。次の局面を迎えようとしているのだ。

それが何なのか、一度に整理がつかないので、数回に分けて書いていこうと思う。というわけで、また次回ね。

 

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