20年間変わっていないこの国、とおれ

まあいちおうFacebookが関係ないでもない話なのだけど。

スティーブ・ジョブズが入院したとか、余命いくばくかだとかいう噂が流れて気になっていた。金曜日(18日)の午後、明石蛸三郎氏のブログ”DON”で「速報! ジョブズ氏はオバマ大統領とのディナーに出席したそうです」という記事が掲載された。たぶん、日本でいちばん早くこのニュースを報じたのはDONだと思う。

Appleファンとしては、ジョブズがディナーに出席できる状態ではあることにホッとした。

だが、この記事を読んで、またベクトルのちがう感想も持った。上の記事を読んでもらえればわかるけど、このオバマとのディナーの出席者がすごいメンツだ。記事から引用させてもらうと・・・

キャロル・バーツ(ヤフー会長兼CEO)
ジョン・チェンバース(シスコシステムズ会長兼CEO)
ディック・コストロ(TwitterのCEO)
ラリー・エリソン(オラクルCEO)
リード・へースティングス(ネットフィックスCEO)
ジョン・ヘネシー(スタンフォード大学学長)
アート・レビンソン(ジェネンテック会長兼前CEO)
エリック・シュミット(グーグル会長)
スティーブ・ウェストリー(ザ・ウェストリーグループ創設者兼マネージング・パートナー)
マーク・ザッカーバーグ(フェースブック会長兼CEO)

アメリカの、いや世界IT業界のトップがずらりと並んでいる。

このディナーについてはホワイトハウスが公式に写真も公開したそうで、TechCrunchJapanには「オバマ大統領はZuck, Jobsらシリコンバレーのスターたちと何を乾杯したか?」と題した日本語記事が掲載されている。この同じ写真はあちこち配られたらしく、Mashableのこの記事は英語版だが、丁寧にどれが誰かまでちゃんと写真にコメントを書き込んで説明してくれている。

オバマ大統領がどうして彼らを集めたのかは、この件を報じたロイターによればこういうことらしい・・・
 同会合は、経済活性化や雇用創出促進のための技術革新を推進するオバマ大統領の取り組みの一環。オバマ大統領は、昨年の中間選挙での民主党不振を受けて産業界との関係改善を図っており、今週発表した3兆7000億ドルの予算案についても産業界の支持を取り付けたい意向。

「産業界との関係改善」なのだそうだ。アメリカの産業界とはほぼイコールIT業界ということかな?

と、聞いて、おや?と思った。「アメリカの産業界」ってのはこういうメンツなの?もっと昔からある大企業は出てこないの?・・・ん?・・・アメリカで昔からある大企業ってなんだ?・・・GM、フォード、クライスラーは再生中だし、GEはもう投資会社みたいなもんだし、あとは鉄鋼とか?化学とか?そういう重厚長大はもうないのか・・・んーと、IBM?・・・

そうか、アメリカの産業界は今や、GoogleやApple、そしてFacebookとかなんだな。並べてみると、Yahoo!さえ古く見える。ネットフリックスなんかもうすでに名を連ねているんだなあ。

もしいま、日本で首相が”産業界との関係”を保つために誰か呼ぶとしたら?・・・想像がつくね。ぼくよりさらに一回りも二回りも年配の、おじさまたちがずらずらずらっと顔を並べることになる。会社の名前も、三十年も四十年も五十年も前からあるところだらけ。せいぜい、ソフトバンクの孫さんや楽天の三木谷さんが呼ばれればいい方。mixiやDeNAやGREEの社長なんか絶対に呼ばれないんだろうしもし呼ばれても隅っこでおとなしくするしかないだろう。

そんなことをもやもやと考えていたら、テレビに鹿野さんという農水大臣が出てきてしゃべっていた。簡単に略歴が紹介され、農水大臣を務めたのは2回目だという。1回目は自民党在籍時代の1989年だという。・・・え?・・・1989年?・・・なんだこの国は、20年以上前に大臣を務めた人にまた同じ役職を任命したのか?・・・なんてこった!・・・

この国は、この二十年ばかり、ちっともどっこも変わっていないってことだ!

20年前、ぼくは何をしていただろう。1991年、ぼくは中堅広告代理店にいて、必死にコピーを書いていた。一年後、あるキャッチフレーズでTCC新人賞という、若いコピーライターの目標である賞を受賞し、さらに翌年、独立してフリーになった。あの時には、はっきりとした達成感を手にできていた。

そしてその後・・・その後は、直接的には現場は離れたけれども、同じ道を歩いてきただけかもしれない。やってることは、あの20代の頃から進歩していないのかもしれない。

ぼくはあの時から何か、進化したのだろうか?いやぼくだけじゃない、ぼくらの業界は進化してきたのか?本来もっと前になすべきだった進化を、改革を、考え方のパラダイムシフトを、なおざりにし、先延ばしにし、ごまかそうとしてきたのではないだろうか?

アメリカにはやっぱり参ったな、と思ってしまう。彼の国は、それをやってきたのだろう。社会が取り組むべき新陳代謝を遂げた、その結果がいま明快に目の前にある。黒人大統領が、26歳のベンチャー経営者をディナーに呼ぶ。きっと20年前には誰も信じられなかっただろう光景を、現実にしている。そんなアメリカは、強い。平気で変化できちゃうんだ!

ぼくたちはザッカーバーグのような人物の輝かしい成功譚ばかりを見つめてしまうけれども、その奥にはきっと、いやまちがいなく、何かが踏みにじられたり、多くの人が傷ついたり、せっかく築き上げたものを打ち壊されたり、いろんなドラマがあったはずだ。社会としてそんなきつさ、しんどさを乗り越えたからこそ、いくつかの成功が生まれ、それが社会を大きく引っ張ったり動かしたりしているのだ。

2011年、この国と、ぼくと、あなたは、20年間なおざりにしごまかしてきたものを、いい加減なんとかしなさいよと、突きつけられるのだと思う。そんな2011年に、ソーシャルメディアという、ひょっとしたら武器にできるかもしれないツールがあって、よかったんじゃないかな。というか、ぼくたちが20年間なおざりにしてきた答えも、ソーシャルにはあるみたいだしね。ぼくらの業界のパラダイムシフトを、ソーシャルこそが巻き起こそうとしているわけだから・・・

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