テレビとタブレットはタッグマッチを組んでいく

前々回の記事で、GoogleTVについて少々ネガティブなことを書いた。テレビで検索させるのは実はあまり求められていないのではないかと。じゃあこれからのテレビはどうなるのかについて、ぼくのイメージを今日は書くよ。

そもそも、検索とかウェブというのは、PC上の概念だとぼくは思う。PC上ということは、仕事モードの時ということだ。

そしてiPadがぼくらの生活に登場して知ったのは、仕事モードはリビングルームに不似合いだということ。なぜならば、リビングルームでは人はだらだら過ごしたいからだ。検索とは自分に必要な情報を探すことだけど、リビングルームでそんな面倒くさいことしたくない。もっと受動的に、なんとなく過ごしたいのだ。

だから、自分をある程度満足させてくれるコンテンツの選択肢を選びやすい形で提示して欲しいと感じる。「あなたが観たいのは、これかこれか、それともこれじゃない?」と、そっちから”提示”して欲しいのだ。自分から探しに行くなんてかったるくてやってられないのだ。

このあたりは、「iPad = LIFE STATION」という趣旨の記事で前に書いたことと関係している。iPadがあって、ソーシャルメディアで人々の話題を追ううちに興味が湧いたものを見に行く。リビングルームでできる”努力”はそんなところだ。そしてタブレットはそれに抜群に向いている。

ということは、同じリビングルームに、タブレットより大きな顔で鎮座しているテレビにも、似たようなことがふさわしい。さあ、自分が見たいものを自分で探してください、ではなく、あなたが観たいのは、これとかじゃない?と提示してくれればいい。

だからスマートTVはGoogleTVのような検索型ではなく、アプリやウィジェットから選ぶタイプになっていくだろう。

そしてそうした操作は、タブレットと連携することで、だんぜん便利になる。

連携までしなくても、実際にテレビを見ながらTwitterを楽しむ”ソーシャルテレビ”という視聴スタイルは、テレビとタブレットがあるからできる。それにテレビ画面の中にTwitterが出てくるより、手元のタブレットでTwitterを追っていく方が見やすいだろう。テレビ画面にはいまみたい映像だけをフルに映しておきたい。”情報”の方はタブレットでちらちら見た方が都合がいいのだ。

これを延長して、テレビとタブレットの連動をイメージしていくと、いろんなことができそうで楽しくなる。タブレットがリモコンになったり、入力ツールになったり、見ながらのコミュニケーションツールになったり、テレビの楽しみ方が多面的に広がりそうだ。

てなことを想像していたら、ほぼそのままのスタイルをパナソニックがすでに提案しているそうだ。というか、今年のCESはそんな新しいテレビ視聴のオンパレードだったようだ。タブレットとテレビの展示が目白押しで、しかもその連携についてもいろんな発表があったらしい。

この潮流は、テレビ放送にとってピンチでもあるけど、チャンスでもある。新しい視聴スタイルは、「これこれこういうテレビの見方なら、オンタイムで放送を見たくなるでしょ」という提案もいっぱい考えられそうだからだ。ソーシャルテレビはその原点みたいなもので、番組をソーシャルでつながって見るなら、放送している時間こそが楽しいに決まっている。いまだってサッカーのアジア大会を見ながらTwitterで「ゴーーーール!」なんて叫んで楽しんでる人は多いだろう。これ、オンタイムじゃないと全然面白くないわけで。

いま起ころうとしていることは、あくまで「これまでのテレビ」が激変しようとしているだけだ。それはマスメディアがいままでほどの”量”はいらなくなるということ。でもゼロにはならない。そして、失礼ながら紙メディアに比べると、テレビはまだまだ”必要”とされるとぼくは思う。

だとしたら、「これからのテレビ」はどうなるのだろう、と考えていけばいい。そして”放送”の新しい有り様もきっと見いだせるとも思う。それに、それを考えるのはすごく面白いと思う。面白いことは、いつか必ず実現できるはずだ。だから、どんどん勝手に考えていこう。イメージをぐいぐい広げていこうじゃないの・・・

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コメント

  1. あの会社、最近コンセプチュアルなアドバルーンを掲げるのですが、現実に落とし込むところで、ゴミに変換されていくんですよね。アクトビラが、そうでした。なんで、そうなっちゃうのかは、不明なのですが。体質ですね。

  2. 先日に大手広告会社のデジタルマーケティングの部署から、弊社開発の「スマートサイネージソリューション」にオファーが寄せられました。Googleやappleの急成長のビジネスモデルを見てこれからはプラットホームが肝だとようやく気がついて様です。メディアベンダーとして本気で取り組んでくれたら素晴らしいのだが・・と願うばかりです。

  3. 駅ピラー〈柱)サイネージの開発・販売しているJR東さんがここ数年で急速な売り上げを上げているそうです。焼け跡に立つメディアはやっぱり”巨大なiPad”だと実感しました。パナソニックが「VIERAコネクト」を発表していますがメディアプラットホームが無いからメジャーにはなれないでしょう。そうなると独自のクリエイティブアプリを持って参入する会社の出番でしょう。境さんの会社が”花形産業”になる時代ですぜよ!

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