少し前に話題になった、Appleの発表の中でスティーブ・ジョブズが「年内に驚くべき新製品が出るよ」ってコメント、知ってる?
知らないって人はこのリリースを読んでみよう。Appleの四半期レポート。英語だけどね。3つめのパラグラフの中に、ジョブズの発言としてこんなセンテンスがあるでしょ。”we have amazing new products still to come this year.”
このアメイジング・ニュー・プロダクツ、とは何なのか。もっぱらの噂としては、Apple TVだと言われている。前に一度、世に送り出して不発に終わったApple TVを、装いも新たに登場させるのではないか、というわけだ。
Apple TVは、テレビ受像機そのものではなく、テレビにつないで使う一種のSTB(Set Top Box)だった。おそらく今回はHDMIケーブルでつながり、高品質な映像を出力できるのだろう。
そしてApple TVはアプリを使うためのものなのではないかな。
このあたりの動きは、野村総研の山崎秀夫さんが”Social Networking.jp”というブログで日々レポートしている。読んでいると、Apple TVに限らず、いろんなメーカーが新しいテレビを開発中だとわかる。そしてどうやらそれらは、何らかのアプリ型テレビらしいんだ。
このあたりについては、前にも「放送はテレビの一部になる」の回で書いたんだっけ。その中でぼくはこう書いている。
テレビモニター上でも、コンテンツがアプリ化するのだ。
わりとさらっと書いたのだけど、これってけっこう重要なことだったのかもしれない。
コンテンツがアプリ化する。VODについても、そういう前提で考えないといけないのだな、きっと。
これまでのテレビ受像機でのVODは、かなりの部分、”インフラ”だった。インフラを整えないと、視聴できない。だから運営はCATV企業とか、通信会社とか、それからアクトビラのようにテレビメーカーの総力結集という形でしか実現できなかった。
Apple TV(広く捉えれば、山崎さんの言う”コネクトテレビ”。GoogleTVなども含まれる)はインターネットにSTBをつないで、テレビで見ればいい。CATVや通信会社の人に頼んで工事に来てもらう、なんてことは必要ない。
そしてVODサービスがアプリとして提供されるのだ。そこを舞台に、いま電子書籍の方式で群雄割拠しているような状況に近いことになるのだと思う。さらに、いまの電子書籍がそうであるように、なんだったら個人で作品つくってアプリで世界へ配信だ、ってことも可能になるはず。
そこには、でっかいドリームと、乗り越えないといけない現実が同時にやって来る。
でっかいドリームで言えば、個人が作った映像コンテンツが世界で大ヒット、ってこともありえる。You Tubeで時折、大ウケな映像が話題になったりするけど、そんなことが世界中のテレビ受像機でも起こるかもしれない。地方に住む名もない青年が制作した、びっくりするようなアニメーション作品が世界を駆けめぐる、なんてことも十分起こりえる。
一方で、そうするためには、その青年はアプリを作れないといけない。アプリを普通に発注すると何百万円かかかってしまう。それはどうしたもんかいね、ということになる。
でもうまーく展開すれば、iPhoneとiPadとApple TVでそれぞれのデバイスにふさわしい視聴ができる、面白くて斬新なコンテンツができるかもしれない。
そういうことを、アプリ開発という現実をどう乗り越えるかを考えたりしながら、夢想していくのって楽しくね?いやもちろん、夢想だけじゃダメだよね。実現しないとあかんよね。
そのあたり、どう考えていけばいいのか?少しずつ、考えていこうぜ。てことで、つづく・・・
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