広告費とはメディア費だった〜メディア事変その7〜

さてクリエイターはこれからどうすればいいのか。そこ行く前に、もう少し広告費の実態を掘り下げようと思う。別にじらしてんじゃないよ。そこに、きっと次へのヒントがあるからさ。

広告代理店という業態があるよね。80年代から時代の花形業種になってきて、いまだに学生の就職志望の一翼を担っている。なんだかね、派手でカッコいいよね。

で、その広告代理店の”代理”ってのは何を”代理”していたのか。建前上はね、広告展開のすべてを”代理”してやっていた、とも言える。マーケティングからクリエイティブから何から何まで。でも実態はね、メディアバイイングの”代理”だったんだ。

テレビ広告でも雑誌広告でも、ある媒体を扱う権利みたいなものがあってね。これ、どんな会社でも扱えるかって言うとそうじゃない。だからって政府から許認可を受けてるわけでもない。でも誰かが突然広告代理店を起こして、翌日からテレビ朝日のCM枠を扱えるかって言うと、扱えない。じゃあ何が条件かって言うと、曖昧。

先進的で華やかな業種だけど、そういう、きわめて日本的な特定人間関係業態なんだ。

そして、メディアを取り扱い、そこでいわゆるマージンを取って利益を得ていた。これが90年代までは15%〜20%ぐらいの利益を、純粋なメディアコストにのせていた。これが高いのか安いのか、まあでも商売として成立させるにはそれくらい必要だったんだろうね。ところが最近はもっとマージンが低いらしい。一桁パーセント台になってきたらしい。

とにかく、一時期は15%くらいとれていた利益。ここで建前上の”広告代理”のすべてをまかなっていた。つまり、媒体費以外は、媒体費で商売するためのサービスだった。ほとんど。例えばちょっと調査やってね、ってのも、それはそれで原価がかかるはずだけど、サービスでやっちゃったりしていた。ホントは、調査やるとけっこうなコストかかるから、それは別途請求した方がいいのだろうけど、そんな”わがまま”を言って媒体費を別の代理店にもってかれるより、サービスしちゃいます!ってことで媒体扱いを守ってきた。

媒体利益が”すべて”だったの。社内のクリエイターやマーケティングの人件費も、媒体費から出していた。社内の人材で足りなくて、外の優秀なクリエイターやマーケッターに外注しても、営業さんが媒体費からやりくりした。最近では、なるべく別途請求しようね、となってきたけど。だって媒体マージンが減ってきたからね。でもいまだに、持ち出しでまかなわないといけない、そんなムードが、クライアントと代理店の間には漂っているの。

それくらい、広告業界にとって媒体費が大きかったってことだね。

そしてぼくが言ってる”メディア事変”の中身は、広告業界が”媒体費がすべて”じゃなくなりつつある、ってことなんだ。

これはほんとうに”事変”だ。一大事だ。パラダイムシフトだ。コペルニクス的転換だ。

たぶん、いまから五年間くらいの間に、そういう”業界”で大激変が起こると思う。広告業界も、テレビ関係も、新聞や雑誌なんかも、大きく中身が変わっていくだろう。

クリエイターの未来も、そういう大きな変化の中で考えてみないと、いかんわけ。

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