The Japan Timesからニコニコ動画についてインタビューされたって話

本を出したあと、いろんな方からコンタクトもらったのだけど、先週はThe Japan Timesの方から連絡をいただいて取材を受けた。そうしたら、11月20日日曜日の紙面にその記事が掲載された。

英字新聞の取材を受けたというと、じゃあ英語で答えたの?と思うかもしれない。掲載記事を読んでいると、自分でさえ「あれ?おれ、英語で答えたんだっけ?」などと思っちゃったりした。○○○○○○, says Osamu Sakai…なんて書いてあるんだもんね。

もちろん記者の方は日本人で、インタビューも日本語で行われたのでした。

さてその記事は、ニコニコ動画がワーナーと提携し、ハリーポッターなどの映画をVOD配信することになったね、というニュースを題材にしている。

このところ、ニコニコ動画の動きがすごい。少し前にも、映画「ステキな金縛り」のプロモーションとして、三谷幸喜監督がニコ生に出演したことを書いた。フジテレビがニコ動の力を借りたわけだ。それに続いて、角川書店と提携して電子書籍サービス、ニコニコ静画をはじめたり、Eテレ(もとのNHK教育テレビ)ともコラボ放送をしたり、とにかくできることはなんでもやり、組める相手とはどこでも組むぞ、と言わんばかり。実際、いまのニコ動にはあらゆる方向からのラブコールがあるのだろう。

インタビューでも話したのだけど、ニコニコ動画がいろんな人と組むのは、とくにテレビ放送やVODサービスと組むのは、大きな意義がある。映像のソーシャル視聴が加速しそうだからだ。テレビも映画も、今後もっと人々の生活に溶け込むにはソーシャル視聴が欠かせないものになるだろうから。個々の作品のプロモーション上でも、ソーシャル視聴は重要だ。いま放送中の番組はどれが面白いのか、どの映画をVODで観ようか、という時、「あの人が面白がってるな」「たくさんの人がすごく反応しているぞ」といったことで左右されることになるだろう。

ニコニコ動画は生まれた時からソーシャル視聴のプラットフォームだった。たんにギークが好む映像を視聴する場であるだけではない。書き込みしながら、あるいはそれを読みながら映像を観るという、よく考えるととんでもないシステムを作ってしまった。もはや普通になっているので忘れちゃうけど、これ、とんでもない大発明だと思う。それに、日本人じゃなきゃ考えないことだったんじゃないかな。

ニコニコ動画は、ソーシャル視聴に限らず、新しい映像の見方を見いだすための実験場だ。これからの映像視聴は、そしてもっといえば映像製作は、ここから変わっていくのかもしれない。

ただし、ニコニコ動画は今後悩みも増えるだろう。他ならぬ、そのネーミングで。もっといえば、ネーミングに集約されたブランディングで。

ニコニコ動画。

これはどう見ても、メインストリームのサービス名ではない。「こういうの、あってもいいよね」という立ち位置だ。それはつまり、ギーク向けのサービス名称なのだ。ネーミングがそうなので、ロゴや、インターフェイスのアートディレクションまでそんな一貫性を持って作り込まれている。

そこを今後どうするのか。わりと近いうちにその悩みに突き当たると思う。

でも、ぼくはニコニコ動画はニコニコ動画だからいいのだと思う。その奇妙な立ち位置は変えない方がいいんじゃないかな。

それより、ニコ動とは別の映像視聴のプラットフォームが必要なんだと思う。もっとオーソドックスな空気を持つ。メインストリームらしい匂いを持つような。

いま、マルチデバイス用のVODサービスを立ち上げるといいんじゃないかな。わりとあいてる土地なんじゃないか。すでにやっているVODは逆にいままでのシステムに縛られちゃうんじゃないかなあ。

だれか、パパパッと、VODを立ち上げてみませんか?成功すると思うけどなあ・・・(無責任)

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