興味購入共有のすべてがここで〜iPadから見えるコンテンツの未来・その15〜

昨日はTwitterにクジラが居座り続け、昼間は大混乱だった。同じTweetが何度も乱れ飛び、アクセスが途切れ途切れ。そんな中、ぼくのmentions上で、今度コンビを組むことになった(という名目で飲み会をやることになった)@higekuma3さんの(と表記するとヒゲクマさんさんの、と読んじゃうのでやっぱりさんはいらないかな)ブログの最新のエントリーが話題になった。

彼のブログの「iPhone物語り」と題されたエントリー。読んでないなあという方は、ちょっと読んでみて、この先の話と関係するから。ここで待ってるから、すぐにリンクをクリックしちゃおう。

はい、戻ってきましたね?

これがお話としてよくできていて、読むとほとんどの人が、ほろりと来たと思う。なんだ@higekuma3たら、辛口なだけじゃなく、メランコリーなストーリーも書けるんだ。

って話はここでは深追いしない。ここで気づいてほしいのは、彼は何も急にメランコリーな話を脈絡なく書きたくなったわけでもなさそうだ、というところ。iPhoneには、信子さんが離さずにはいられないくらい、夫のずべてがつまってる、じゃなくてつまっている、ことを描いているわけ。

その意味合いをもっと理解するのなら、今度は彼のブログの「Appleの戦略」と題した一連のシリーズを読むといいだろう。

Apple製品に、ぼくたちのありとあらゆる履歴が吸いこまれていく、ということ。そして@higekuma3はそれを意外に肯定的に捉えているらしいことがわかる。

最近もIT企業がユーザーの履歴を手にしてしまうのはいかがなものか、という議論があったりする。かなり個人の感覚的な問題なのかもしれないけど、ぼくなんかぶっちゃけそれで便利になるならいいじゃない、と思う。

そこでiPadの話になるのだけど、そして少し論点がずれていくのだけど、iPadが革命的なのは、今後ぼくのコミュニケーションとアプリやコンテンツ購入の流れは、かなりの部分がここで行われてしまうことになりそうだ、という点だ。そしてそんなスティーブ・ジョブズの野望にのることで、ぼくたちはかなりの利便性を手に入れられるのだと。

インターネットが普及しても、コンテンツ流通でぼくたちはまだまだ不便だったんじゃないかな、これまでは。

例えばいまもっとも渦中の書籍にしても。ブログで紹介されて興味を持った本を、アマゾン前までは翌日会社や学校の帰りに書店で探していたわけだ。探しても見当たらなかったりしたわけだ。アマゾンによってこれはWEBで即購入、翌日には届く、という便利な状況になった。でもこれも、アマゾンに在庫があればの話。在庫がないと待たされる。この状況についても@higekuma3はこのエントリーで彼の本領発揮な辛口コメント満載なことを書いている。

もっと言うと、こないだ@hhoshibaさん(またもや登場)が『ティッピングポイント』という本についてTweetしていた。ぼくは強い興味を持ち、アマゾンで見たら中古しかなかった。いわゆる絶版状態だったのだ。ほんの10年前の本なのに。う〜ん、中古かよ、と、ぼくは購入をためらったままだ。

あるいはアプリケーションはどうだったか。とっても便利なPCソフトが欲しくなった。アプリケーションならダウンロード販売もあったりはする。探すと、あるオンラインPCショップがいちばん安かった。さあ買うぞ。ところがまず、会員登録とやらをさせられる。メールアドレスを入力し、パスワードを決め、住所だ電話番号だのを無愛想な入力フォーマットに入れて、”次へ”ボタンを押すと、住所は番地も全角で入れろやり直せとか言われる。そうやって苦労して会員になったサイトのパスワードが、次に買う時にどこに書きとめたかわからなくなったりする。

映像コンテンツはもっと不便だ。アマゾンで売ってはいるが、セルだけだ。興味を持っていちいち購入していては身が持たない。というわけでTSUTAYAにレンタルしにいくことになるのだけど、お近くのTSUTAYAはクルマで10分ほどのところにしかない。サラリーマンのおじさんとしては土日しか行けないよ。それでも、『LOST』のシーズン5が出る日だってんで金曜日の夜に帰宅するやいなや、勢い込んでクルマで乗り込んだら、全部レンタル中でがっかりするわけだ。

現状のiPadが、こうした煩わしさをすべて解消できるわけではない。なぜならば、肝心のコンテンツが少ないからだ。いっそ古今東西、新旧すべてのコンテンツを電子化して、購入できるようにすればいい。そうすればぼくたちは、Twitter上で教わった本をすぐさま読み、ブログで興味を持った映画をその場で視聴できるわけだ。ポイントなのはTwitterもブログも、つまりコンテンツに興味を持つことから、購入して楽しむまでが、”同じ端末で”できてしまうことだ。その上パスワードはたったひとつ、頭の中に書きとめてあるAppStoreのもの(=iTunesStoreのもの)を入れればいいのだ。

iPadのことをMedia Tabletと定義しているニュースを読んだことがある。本質をついた言い方だとぼくは思った。一方で、iPadをノートPCと比べて使いづらいよと評する人もいる。それは購入理由がまちがってたね。Media Tabletってのは、前に書いたようにLIFEで使うもので、記事を読んだりコンテンツを楽しむことがメインになるのだ。WORKに使おうとするから話がおかしくなる。LIFEの中で、コンテンツを探し、教わり、楽しみ、共有するためのものなのだ。新しい技術の粋、などではまったくなく、AppStoreとセットで、コンテンツ流通をイチから捉え直し、すべてが電子化する前提で構築されたプラットフォームなんだ。

スティーブ・ジョブズのたくらみにまんまとはまったぼくは、自分の知的体験のかなりの部分をiPadに残していくことになりそうだ。いつかぼくの奥さんは、ぼくが死んだあとでほんとうにぼくのiPadを大事に抱きしめるのかもしれないね・・・

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コメント

  1. ラーメン二郎 品川店と、京浜東北線の中と、歯医者の待合室で、書き上げました。「副題:魂はクラウドの中に」です。私は、こっちのほうが好きなのですが、IT関係ない方には、意味が、不明ですね。

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