ネイティブ広告の概念は、去年の後半あたりからよく耳にするようになってきた。今年の初めにはこのブログでも2つの記事を書いている。記事を読んでくれて、東京FMの「タイムライン」という番組に呼ばれてネイティブ広告について解説したりした。
●広告はメディアが背負う原罪なのか?(あるいは広告とコンテンツは融合できるか?)
●ネイティブ広告の議論は、広告の本質の議論でもある
これらの記事を書いた今年の1月あたりは、まだ「ネイティブ広告って言葉を最近聞くけどなんなの?」という雰囲気だった。ところが春以降、トレンドワードになってきた気がする。実際、ネイティブ広告をテーマにしたセミナーなどもあちこちで開催されている。
ネイティブ広告と言えば記事広告でしょ?いやそれもひとつだけどそれだけでもないんだよね、という議論もまた定番になりつつあるけど、キリがないのでここではふれないことにする。
ぼくにとって興味があるのは、ネイティブ広告がコンテンツの作り手にとってひとつの光明になるのではないか、という前向きな視点だ。そしてその視点で見つめた先にいま必ず登場するのが、谷口マサト氏だ。
1月の記事でもふれたけど、谷口氏とはAdvertimes上で対談をしている。
この対談は谷口氏の連載の一環だったのだが、これは一冊の本にまとめられ、ちょうど今月発売になる。本日(8月18日)時点で予約受付中なのでいっそいまクリックしちゃおう。↓
谷口さんは作っているものから変人をイメージするかもしれないが、実際にお会いするといたってマジメな青年だ。こんなにマジメな人がどうやってあんなへんてこりんな企画を考え出すのかと不思議になる。
いや、だがしかし、わかる人にはわかっているはずだ。谷口氏の企画にはマジメな思いが常に隠れている。広告って何なの?コンテンツって何だろう?それがいっしょくたになってもいいんじゃないかな?そんなストイックとも言える深い思考があってあのユニークな企画が生み出されているのだと思う。
ぼくが彼の企画を面白がったのは、”ちゃんと作ってる”点だった。正直言って、ネット上のコンテンツには”ちゃんと作る”意志が見当たらないことが多い。谷口氏と同じように企業の依頼で広告的な目的で作られているコンテンツは他にもある。だがそれらはどれも、手間もヒマもかけていないのが見え見えだ。予算も時間も少ないから仕方ない、と言うかもしれない。でもそんなことやってたらずっと予算も時間も増えない。
大切なのは「これちゃんと考えたので面白いし効果あります。だから予算も時間もかかります」と胸を張ってプレゼンすることだ。ということは、けっこうちゃんと考えないと胸を張れない。今後、ネットがコンテンツ制作の舞台になっていく時、このポイントの重要性を認識した方がいい。認識した人は、だんだん予算も上がっていくだろう。
谷口さんはネットの中では手間もヒマもかけて制作している。予算を獲得できているのだと思う。
ぼくがネイティブ広告に期待するのは、コンテンツに予算と時間をかける道筋が見えてくるのではないか、という点だ。そんな方向のヒーローに谷口氏はなるのかもしれない。
8月28日にソーシャルTV推進会議で開催するカンファレンスでは、2つめのセッションで谷口マサトさんに登壇してもらう。インフォバーンの手島湖太郎氏がモデレーターで、アウトブレインジャパンの嶋瀬宏氏の参加も決まった。
どんな話が展開されるか、楽しみにしてほしい。
プログラムはこんな内容。
SocialTV Conference2014
19:00-19:10
1) 活動報告と提言 境 治
提言:TVアプリのこれから19:10-19:50
2) 2020年のターゲティング広告
モデレーター:深田航志
パネラー:西川正樹(Gracenote)
重友大樹(カゴメ)19:50-20:30
3) コンテンツがメッセージになる・ネイティブ広告
モデレーター:手島湖太郎(インフォバーン)
パネラー:谷口マサト(LINE)
嶋瀬宏(アウトブレインジャパン)
休憩(10分)20:40-21:20
4) 映像の冒険者たち
モデレーター:境 治
パネラー:眞鍋海里(BBDO J WEST)
瀧 祐夏(東京倉庫)
合田知弘(テレビ東京)
歓談(約30分)
22:00終了予定
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コピーライター/メディアコンサルタント
境 治
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