テレビはテレビじゃなくてもいい、と思った時にテレビの未来が開けるかもしれない〜あやぶろナイト、本日夜!〜

今日10月1日の夜、“あやぶろナイト“というイベントがあってぼくも出ることになっている。

あやぶろナイトが何かは、あやとりブログのことから説明しないといけない。

まあ、ここをクリックして読んでもらうのがいちばんなのだけど、テレビを中心にしたメディア論のブログだ。テレビ界には珍しいことに、TBSの関連会社でTBSメディア総研という会社があって、あやとりブログを運営している。

編集長の氏家夏彦さんはメディア総研の社長でもあるのだけど、あやとりブログでも積極的に記事を書いている。2月には「テレビがつまらなくなった理由」と題して、インナーからテレビ界に警鐘を鳴らした記事を発表。けっこうバズったので読んだ人もいるかもしれない。(なんと、2000以上の「いいね!」がついた!)

そしてつい最近、“テレビの未来“というシリーズタイトルで、その1にあたる「テレビは不便で時代遅れのサービスだ」をはじめ7回に渡って記事を書いていた。その基本的な考え方は、テレビ視聴者をユーザーと捉えることにあり、だからこそテレビは“サービスとして“どうなのかを問う姿勢で書いている。

ネットで事業をしている人なら、「テレビだってサービスに決まってるじゃないか」と思うかもしれない。でもテレビ界の人、そしてもっと広げればマスメディアに携わってきた人は「サービス?」と受けとめるだろう。人によっては「サービスだなんて、そんなへりくだったことをやってきたつもりはないね」とムッとするかもしれない。それくらい、これまでのマスメディア界の文化にはなかった概念なのだ。

そんなあやとりブログが初のトークイベントを開催する。それが”あやぶろナイト”なのだ。興味ある方はここをクリックして申し込もう。もう当日だけどね。

その”あやぶろナイト”でも『半沢直樹』は格好の題材として話題に登りそうだ。すでに事前打合せでもネタになっていて、議論の入口にはうってつけだねとみんなで話した。

その打合せでも、昨日のこのブログで書いたことを話したのだけど、ふだんテレビを観ない人が『半沢直樹』はなぜか観たんだよね、という話に至った時、ある方が「そういう人たちにとって、この番組はテレビじゃないんでしょうね」と言った。この見方は、衝撃だけど、その通りなのだと思った。

『半沢直樹』のヒットを、テレビ界の人は「ほらね、テレビってやっぱりすごいよね!」と言ったりする。そこには、これでまたテレビに人が戻ってくるといいなあ、という思いもあるだろう。でも、ぼくははっきり思う。『半沢直樹』が知らしめたのは、ドラマの面白さであってテレビの面白さではない。とくに”ふだんテレビを観ない人びと”はこれを決して「なんだ、テレビも面白いじゃないか」とは捉えていない。「面白いコンテンツは面白いなあ」そんな捉え方じゃないかと思う。

テレビとは何だろう。テレビとは放送という、映像を伝える形態のことだ。でも同時に伝えられる映像コンテンツもテレビと呼ばれる。番組を作る行為と、それを送り届ける行為を、同じ会社がやっているのが日本のテレビだ。でもよくよく見るとその二つは別の作業だ。海外ではそこが分れていることも多い。「24」や「LOST」などのアメリカのドラマは制作の主体はプロダクション側にあり、放送局はそれを流す、流通の立場だ。

だからアメリカの構造からすると、さっきの「面白いコンテンツは面白いなあ」という捉え方の方が自然だ。実際、ドラマはネットワークテレビで放送され、ケーブルテレビで再放送され、huluやNetFlix、AppleTVなどでも見ることができる。最初に放送したテレビ局がどこかはあまり関係ない。だってドラマ=テレビ、ではないからだ。

日本はドラマ=テレビ、でこれまでやってきた。ドラマに限らず、何でもかんでも番組=テレビだった。そういう、制作と流通が一体となっていたからこそ、これまで発展してきた。それでよかった。うまくいった。

でもこれからは、そうでもないと思う。制作流通一体型が、いろんな意味でかえって面倒を生むと思う。それが足かせになってきている気がする。

制作と流通と、どちらを伸ばすべきなのだろうか。答えははっきりしていて、成長する可能性があるのは制作の方だ。流通の方は、広告費が伸びないと伸びようがない。そして今後、国内のマス広告費は伸びない。そのことはもはや誰もが気づいている。放送においては、流通は国の枠組みに縛られる。海外には出にくい。(やりようはあると思うが)

制作は、国外にも持っていける。成果物を輸出できる。アメリカがそうだし、韓国も上手にやっている。テレビ(=映像流通)には成長性が見えないが、コンテンツ(=制作)には少なくともポテンシャルはあるのだ。

あやぶろナイトの議論はあっちこっちに進みそうだが、大きなテーマは「テレビの未来」だ。制作と放送の問題、そしてそのポテンシャルにも話題は及ぶんじゃないかな。

さてこのあやぶろナイトは本日、10月1日開催だけど、その一カ月後、11月1日にはソーシャルテレビ推進会議が主宰するイベントがある。“ソーシャルTVカンファレンス2013″と題して、こちらもテレビの現在と未来をテーマにしている。そしてイギリスからzeeboxというサービスのCTO、Anthony Rose氏をお招きしてキーノートをお願いする。

興味ある?だったら、ここをクリック→“SocialTV Conference2013”
ぜひ、ご参加を!

コミュニケーションディレクター/コピーライター/メディア戦略家
境 治
What can I do for you?
sakaiosamu62@gmail.com

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