土曜日のDTPboosterでは、InDesignからiPadコンテンツをつくりだすいくつかの方法が紹介された。純粋な電子書籍、テキスト中心のものはePub形式のファイルにする。そしてもうひとつ、雑誌的なもの、画像もふんだんに使ったものについては、ProBridgeDesigner-iとWoodWingの2つのソリューションのデモンストレーションがあった。
で、今日はぼくから、前者のProBridgeDesigner-iについて解説するよ。
このツールは、日本の会社、プロフィールド社によって開発されたもの。詳しくはこのリリースを読んでみよう。同社はAdobe InDsignの様々なプラグインツールを開発してきた。
今回のProBridgeDesinger-iは、”既存のInDesignのデータをiPadコンテンツにする”ことをメインコンセプトに生み出されたもの。DTP業界のツールをサポートしていて、iPadに対応するにはどうしたらいいか、との相談を受けてのことらしい。
だから、これまで雑誌やカタログなどをルーチン的にInDesignで制作していたDTPの会社にぴったり、ということだね。
「電子雑誌はPDFじゃダメなんだよ!」の記事でぼくがさんざん書いたように、雑誌の入稿データ(=PDF)をそのままiPadに展開したものが現状は多い。そうすると、A4ページや、その見開きページをほぼA5サイズのiPadのモニターで表示せざるを得ないため、すごく小さな画像になり、文字なんか読めやしない。
もちろんピンチインアウトで拡大縮小はできるけど、それはユーザー本位の読ませ方とは言えない。ProBridgeDesigner-iはこれを解決してくれるのだ。
InDesignのプラグインとしてインストールしておき、画面の中の大きく見せたい部分を指定する。すると、その部分をタップすれば新たなウィンドウが起ち上がり、見やすいサイズで表示できる。
ピンチインアウトとタップで別ウィンドウと、そんなにちがうのかと思うのかもしれないけど、そんなにちがう。ピンチインはどこか「読みにくかったら大きくすれば?」とユーザーに強いている感じなのに対し、タップで別ウィンドウは「はい!みにくいところを見やすくしました!」というサービス感がある。そのちがいは、とても大きいと思う。
他にも、動画も載せられたり、アプリを閉じずにWEBを表示できたりする。よく知らなかったけど、InDesignはすでにインタラクティブな要素を組み込める仕立てになっており、それをiPad化するのを助けるプラグイン、ということのようだ。
もうひとつ、重要な点として、ProBridgeDesigner-iはプラグインでiPad用コンテンツを生成するけど、それを読み取るリーダーアプリを別に作らないといけない。このアプリが、サーバー上に置かれたコンテンツを読み取る、ということ。既存のアプリだと、Wall Street Journalが近いやり方をとっている。
そして、そのリーダーアプリも”開発”しないといけない。プロフィールド社ではそのためのキットも提供している。つまり、プラグインツールと、開発キットをセットで購入しないと意味がないのだ。開発キットでアプリを作るにはある程度のプログラミングの知識は必要だそうだ。
いろいろ調べてProBridgeDesigner-iにたどり着いた時、ひょっとしてこれは、紙媒体の入稿のように、制作作業だけでiPadコンテンツがつくれちゃうのかな?プログラマーはいらないのかな?と思ったのだけど、まあそんなわけはないね、と。
それでも、InDesignをメインで使っている編集プロダクション、デザイン会社だったら、数十万の投資でiPadコンテンツが作れちゃう。これはいちばん導入しやすい手法ではないかなと思う。
というのがProBridgeDesigner-iの概論。ぼくはDTPboosterの直前にこれを知ったので、会場でデモも見られていろいろと理解できた。もっと詳しく知りたければ、みなさん自分でコンタクトしてみてね。
という感じで、このあともわかったこと、続々お伝えしていきますよー
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