iPadを使っていて、不思議なことがある。
例えばさっき。Twitterで@hhoshibaさんがRSSリーダーアプリのReederを入れてみたとTweetしていた。@m_kanekoさんがこのアプリについてTweetしていた流れで。(このお二人は、2月に書いたこの記事に登場する、ぼくがiPhoneを買うきっかけとなった人びとだ。)
ぼくはiPad用のRSSリーダーとしてMobileRSS HDをすでに600円で買って使っていた。それなりに便利なアプリだ。だがこのお二人が名前を挙げたと思うと、Reederも気になり少し調べたら(こういう局面では検索するのね)かなり評価が高い。うーん、としばし悩んだ末、Reederを600円で購入した。
ReederはiPhone版で評価が高かったアプリで、満を持してiPad版も登場ということらしい。iPhone版は350円だが、iPad版だと600円だ。
買って使ってみると、とにかく情報を読み込むのが速く、なるほど評価が高いだけのことはあった。だけどふと、iPhone版との価格差は何よ、と思った。この手のアプリで、iPhone版とiPad版で、開発コストがそんなにちがうもんかね?と。
と、思ったけど、別に暴利だとも感じない。まあ、いいアプリだから、いいんじゃないかな、てなもんだ。
iPad上のアプリは、こんな風にiPhone版よりひとまわり高い。ゲームなんかだと、画像も高精度でなんとなく理屈が立つ気がするけど、全体的に開発費は実はさほど変わらないんじゃないか。・・・でも、許せている自分がいる。
少し前、iPhoneでアプリのヒット作が出た、なんて頃、だからって企業がまともに取組む場だとはあまり思えなかった。個人でアプリを作れる人たちが、運良くヒットを出せてよかったね、という受け止め方。そういう場所なんだろうと思っていた。そしてアプリの単価は200円とか300円。無料のものも多く、いかにも個人の活躍舞台、というイメージ。
それがどういうわけか、iPadでは話がちがっているらしい。
例の『WIRED』はコンデナスト社が渾身の開発をして600円で発売し、9日間で7万本以上売れたらしい。講談社が京極夏彦氏の『死ねばいいのに』を700円で売り出して5日間で1万部売れたとも聞く。もちろん、iPadが出たばかりでアプリの数が少ない状況もあるだろう。でも、600円とか700円とか、iPhoneのアプリの一般的な価格の倍以上でコンテンツを出して万単位で売れている。これはよく考えると画期的なんじゃないだろうか。
インターネットが登場して以来、WEBはコンテンツをまともな価格で売る場にはついぞなりえなかった。無料でコンテンツを入手するのが当然な場所で、広告モデルで成立させられるかどうか、だった。それが常識のはずだった。
iPadは、そういう常識を覆しつつあるようだ。少なくともいままでよりはまっとうな価格帯で、コンテンツが売れるのだ。
それがなぜかを、ぼくは論理的に説明できない。ただ、日々使っていて感覚的にはわかる。それはここでさんざん書いてきた、アートディレクション云々とか、美しくなきゃとか、そういう印象と深く関係しているのだと思う。
WEBと比べると、iPadは”ちゃんとしてる”からだ。
うわ、まったく論理もへったくれもないね。でも、そうなんだ。そうとしか言いようがない。
というわけで今週は、コンテンツ市場としてのiPadについていろいろ考えてみる。今日はもう疲れたから寝るわ。物足りない人には、一カ月ほど前に書いた「iPadはセカイテレビだ!(と思う、のつづき)」を紹介してお茶を濁そう。でもこれ、今週書くことの予習になるから読んでもらって悪くないと思うよ・・・
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