このブログで、去年の6月29日付の記事で書いたこと。ニュースサイトは、”おれの知りたいニュース”を教えてくれるようじゃないとダメだと。つまりAmazonが”おれの読みたい本”を教えてくれるように、ニュースもレコメンエンジンつんで、それまでの記事の閲覧履歴などから個々人の嗜好に合わせてニュースを提示して欲しいということね。
日経電子版は、少なくともひとつの機能としてこれがあるらしいのだ。
あらかじめ選んだキーワードをもとに、そして過去の履歴をもとに、「あなたがいま読みたいニュースってこれじゃない?」と提示してくれる。これはベンリだ。
それにこの機能、日経だからこそ”効く”と思う。ビジネスニュースや情報の中で、例えばぼくで言えば、メディアコンテンツ業界のニュースを選んでくれるのだろう。ビジネスに限定した中で選ぶからこそ価値がある。これが一般紙なんかだと、映画の試写会で女優が何を言った、なんてもんまで入って来かねない。
“日経”というブランドアイデンティティがはっきりしているメディアだからこそ価値が出てくるわけだ。
日経電子版でもうひとつ驚いたのは、紙の方とのシンクロ性だ。
電子版でも紙が読める。紙の方の日経で、一週間どんな記事があったかを、紙面そのままのレイアウトで閲覧できるのだ。これも日経ならではの機能だと思った。
上司や取引先と話していて、「今朝の日経でこんな記事がね・・・」ということ、よくあるでしょ?目を通したはずなのにその記事は気づかなかったなあ、なんてことになる。そんな時、電子版でチェックできるというわけ。これもね、他の新聞ではあまり意味がない。他紙でやったら、じゃあ電子版があればいいから紙の方はやめるね、となりかねない。紙との両立は日経だから可能になるのだ。
似た発想で、料金も考えてある。紙を購読している人は、1000円程度の追加料金で電子版が読めるとの話。ここには日経の自信が垣間見える。紙の方も継続した上で、電子版を追加料金払えば読めますよ、もっとベンリになりますよ。そんな考え方なのだろう。
まだ全貌を把握しているわけではないのだけど、大ざっぱに得た情報では、よく考えられていると思った。そして、日経というブランドアイデンティティを踏まえた上でのサービスなのだなと。
もちろん、それでも紙の購読者は減ってはいくだろう。おそらく減っていく前提で、徐々に電子版ベースに自らも読者も移行させていく戦略なのではないかな。
少し褒め過ぎかもしれないけど、紙メディアの将来が少し見えた気がしたのでね。まあもうじき詳細が発表になると思うので、それを見てまた検証したいね。
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今は読み手がキーワードを検索してニュースを探さないといけないので、読みたいニュースを提示してくれるサービスが出てくると便利ですね。電子媒体といえば、キンドル(Amazon Kindle)の登場で、電子書籍の出現がにわかに現実味を帯びてきましたが、僕も期待している一人です。印税を70%とすることで著作者にインセンティブを与えることが見込まれますし、価格も安くなるそうなので、成功を願うばかりです。いずれにしても紙ベースでの出版は(初版3,000部などの縛りもあって)、明るい展望はどうしても描けないですね。とあるビジネスモデルで、デジタルフォトフレームを利用して、スーパーの電子チラシを顧客に配布するというのを聞いたことがあります。なるほどと思いました。日経電子版もキンドル版で発行されることがあるのでしょうか…。いずれにしても情報を取捨選択しやすいような環境作りが望まれるところです。今はとかく情報が多すぎて一日で見きれないです(汗)
アップルからも、タブレット(仮称)のキンドル的なものがでますよね。ケータイからiPhoneになるだけで、インターフェイスの違いでモバイルコンテンツの認識が一変しましたので、ここら辺の端末の試行錯誤の積み重ねで、紙を忘れて行く時代の到来となる気がします。