メディアのデフレ、クリエイティブのデフレ

クリエイティブのデフレ、って何のことかと言うとね。

例えば映画だ。今年になっていよいよ洋画より邦画だね、という状況が続いている。ほんの数年前まで日本映画が興行ランキングのトップになるとびっくりしたものだが、このところはトップどころか1位2位3位いずれも日本映画だということがしばしば起こっている。先週も1位『僕の初恋をキミに捧ぐ』2位『沈まぬ太陽』3位『カイジ人生逆転ゲーム』だった。

いいぞ日本映画!・・・と手放しで喜べない。聞くところでは映画興行は前年比7割とも6割とも言う。映画館に人が来なくなってきている。そりゃこの不況じゃね、ってそうなのか?映画興行は不況に強いってことになってるんだぜ。

気がつくと、ぼくらの周りには映像コンテンツがお手軽に手に入る環境がどんどん整っている。ケーブルテレビのVODサービスなんてもんがはじまり、わが家もさっそく導入を決めた。導入したら驚いた。VODってなんて便利なんだ。

VODはもちろん、TSUTAYAに行かなくても自宅で気軽に映画を見れるサービスだ。まだまだ新作がどんどん登場、ってわけにはいかないけど、意外に、あ、これもう見れるんだ、という作品がけっこう多い。

それだけではない。かなりの数の作品が無料で見れたりもする。あ、これそう言えば見てなかった。そんな作品がタダで見れちゃう。

ケーブルテレビの映画チャンネルでも、少し前の新作映画がかなり見れる。これも、月々の定額料金はとられているけど、感覚としては無料だ。そのうち見ようと思って録画した映画がうちのレコーダーに10本ぐらい入っている。

気がつくと、めっきり映画館に行くことが少なくなった。それどころか、TSUTAYAに行くこともなくなってきた。とにかく、なにしろ、家に居ながらにして映画が見れるのだ。しかも、けっこうタダで見れる。

中二と小五の子供たちはいまやディープなネットユーザーだ。いろんなことをPCでやる。中二の子はヤフオクで中古ゲームを買ったりする。そしてYou Tubeやニコニコ動画もしょっちゅう見ている。ニコ動で何やら動画を見て二人でケラケラ笑っている。どれどれと見てみると、アマチュアがつくったフラッシュアニメだったりする。そうとう下らないしクオリティも大したことないが、確かにケラケラ笑うほど面白い。

子供たちは決してテレビを見ないわけではない。むしろ、かなり見る。だが録画が多い。見たいドラマやアニメをどんどん録画して、時間差で見ている。ドラマは改編時に興味あるのを一話だけ見て、つまらないと2話以降は見なくなる。一方でリアルタイムで見る番組は決めている。厳選したものか、ややヒマつぶし的に見るか、どっちかだ。

家族揃って毎週見るドラマがある。『LOST』と『HEROES』だ。日曜日と火曜日の夜10時は、リアルタイムで家族全員がテレビの前に集合する。家族全員で必ず見るのが、この2つの海外ドラマなのだ。

ぼくは学生時代以来の映画好きだ。子供たちもドラマや映画が大好きだ。だが、映画館には3ヶ月に一度くらいしか家族で行かなくなった。少し前まではもっと映画館に行っていた。それが一年前あたりから急激に減った。自宅で見れる面白い映像があまりにも多いのだ。あるいは、ぼくは去年まではほぼ毎週末TSUTAYAに行き、何らかの映画を借りて土曜日の夜中に一人で見ていた。その習慣も気がつくとやめていた。だってまだ見てない映画が、自宅でいっぱい見れるんだもん。

映画好きのぼくと、ぼくの一家が、映画を見るために使うお金が明らかに、急激に、減ったのだ。

デフレーションが起こっている。クリエイティブのデフレだ。これはいったい何なのか?という話をしばらく書いていくよ・・・

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