一年ほど前に、私はYahoo!でこのような記事を書いた。
「このままでは日本のコンテンツ産業もガラパゴス化してしまう(2016/4/4 Yahoo!ニュース個人)
中国で映画や映像配信の市場が急増しているが日本の映像コンテンツは海外への販売網や流通体制がほとんどできてないこと。国内市場は少子高齢化で縮むばかりであること。今後は配信権とセットじゃないと映像コンテンツは商談が成立しないことを書いたものだ。
この”嘆き”のような記事は、ある会社の海外販売担当の方から聞かせていただいた強い危機感に押されて書いたものだ。そして実は、昔映像製作会社ロボットにいた時にも痛感したことだ。2008年にロボット製作、加藤久仁生監督による「つみきのいえ」がアカデミー賞を獲得したのだが、海外からものすごい数のコンタクトがあったのにほとんどお金にできなかったのだ。いきなり世界中から「この素晴らしいアニメーションを我が国で配給するなら私たちにお任せを!」と言われても、本当にこの会社に任せていいものかと、大切な作品だけに悩んでしまった。自分たちでは判断できないが、誰に頼ればいいかもわからず、途方に暮れてしまったのだ。普段から海外とのパイプを維持していないと、海外セールスなんてできないと当時実感した。
この記事を受ける形で、元日本テレビの佛教大学教授・大場吾郎氏がこんなブログを書いている。
大場氏とは普段から交流があるので、意見交換のように記事を交わし合った感じだ。しかしこれを読んで知ったことがいっぱいあって、とにかく驚いたのは、日本のコンテンツは昔の方がずっと海外に積極的だったし売れてもいたことだ。むしろこの十年くらい閉鎖的になっている。
一方、Yahoo!に前から気になる記事を書いている女性がいた。テレビ業界ジャーナリストとして多方面のメディアで記事を配信している長谷川朋子氏。特に日本のテレビ番組の海外展開については世界中を飛び歩いて取材している。たまたまある会で同席し、あちらも私の存在を気に留めてくれていたようで、盛り上がった。直接話して、あらためて海外展開についての知見の広さ、そこから見えて来たオピニオンもお持ちだとわかった。
そんな長谷川さんから、フジテレビの国際開発局にいる久保田哲史氏を紹介してもらった。ドラマ制作のディレクターをやっていたが、ひょんなことから中国の映像業界と接点ができて、だったら自分でやってやろうと今の部署に移籍して活動している。日本のドラマは、海外製作をエネルギーに活性化できるはずと信じて頑張っている。
そんなお三方をお迎えしてセミナーをやりたいと思いついた。日本の映像業界は海外展開について消極的だったと思う。だが、ハリウッドの強さは世界を市場にできていることだ。日本の市場規模は世界第二位だったのが中国に抜かれて3位に下がった。そこそこの規模であることがこれまで続けられた大きな要素だが、中途半端な規模だから予算もかけられないし産業として物足りない。現場が疲弊してもカバーできる収益が生み出せない。まさにガラパゴス化している。もはや世界に出なければ先はないのではないか。逆に言えば世界に大きなチャンスがあるということだ。前向きになって勇躍する意思を今こそ持つべきだと考えていた。
北米に売れない。アジアはお金にならない。そんな愚痴はもう昔の話で、今こそチャンスなのだと思う。
そんな期待を裏付け、勇気を掻き立てられるようなセミナーにしたいと思う。
5月12日、14時から、ぜひ参加してください。
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