”おいらとあんたの世界戦略”の続きなんだけど、”さらばビッグビジネス”というサブサブタイトルもつけてみた。長くなってきたので、何書いてるかわかりにくいんじゃないかと。だったらその4までにもサブサブタイトルつけろよ?そうすね。そのうちね。
その5まで来たけど、そもそも、どうしてコンテンツ産業よ世界へ飛び出せ、という話が「おいらとあんたの」なのだろう。今日はいよいよ、その核心に迫るからね。
さて、メディアだのコンテンツだの、そして中でも映像関連の産業は、ビッグビジネスだった。そこが醍醐味のひとつだった。
商社に入った人で、広告代理店も考えましたが、という人、けっこう多い。その逆も意外にいる。この感覚はぼくには到底わからない。どうして代理店と商社が並ぶのか。ある時期にそういうことか、と思った。でかいことしでかす感じ、が共通しているんだ。
メディアが、中でも映像メディアがビッグビジネスなのは、そういう宿命というか、そんな風に生まれついたのだから、当然なんだ。「一度にたくさんの人に映像を流して、たくさんのものを売るのに役立つ」それがテレビ放送事業だからだ。「たくさん」ってとこがなかったら、成立しない。
映画興行も同じこと。「一度にたくさんの人に同じ映画を見せてイッキに投資を回収し、収益化する」映画とは、そういう風に生まれたのだ。
映像メディアの世界の、そういう「一発アテたれや」的なムードが大好きだ、って人も多いだろう。それはそれで、人びとの欲望をエネルギーに活気に満ちたムードが立ちこめ、魅力的ではあるだろう。
でも、そういうのは20世紀でおしまいだろう。
このブログを読んできた人なら、そこはもう説明の必要はないよね。もう映像だのマスメディアはビッグビジネスじゃなくなる。だってマスメディアがマスじゃなくなるんだから。
日本コンテンツ産業の世界戦略も、ビッグビジネスをめざすと、痛い目に遭うかもしれない。いや、えっと、ビッグビジネスを捨てることもないのだけれど、ビッグビジネスにしていこうぜ、という部分と、ビッグビジネスやめようぜ、という部分と、分けて考えた方がいいのだろう。
それに、そもそもどうしてぼくが世界進出、とか言い出しているかというと、ビッグビジネスが日本じゃ成立しなくなってくるから、なんだね。
だから、世界でならビッグビジネス的にできるかもね、という部分と、世界でならビッグビジネスにしなくてもうまくいくかもね、という部分とが、あるわけ。
例えばね、これまでの映像ビジネスを、映画で見てみよう。
製作費5億円の映画がビジネスたるためには、何人を国内で集めねばならないでしょうか。
これ、何度か説明してきた。DVDの要素を加えると話が複雑になるので、劇場収入だけでのリクープに絞ろう。ざっくり言って20億円の興行収入でトントンになる。20億円の興行収入は、何人劇場に来ればいいのか。入場料の平均をざっくり1500円(子供とかシニアとかもいるからね)とすると、133万3333人だ。
5億円の製作費は決して大作ではない。もっと低い予算の映画もいっぱいあるけど、普通に娯楽作品を製作するとそれぐらいにはなるだろう。これのもとを(劇場だけで)とるのに133万人集めないといけない。
133万人を集めるのは大変だ。そう簡単ではない。1億3千万人の人口の国では。でも世界へ出たらどうだろう。もしアメリカ合衆国3億人(しかも映画大好き)の市場に持ち込めたら?そして中国13億人の市場に持ち込めたら?アジアは?ヨーロッパは?
いや、世界市場ならそもそも、20億円でリクープできるか、なんていうちんまい話じゃなく、もっとお金かけてもっと稼げる映画つくればいいじゃない?そうそう!ハリウッド俳優と日本のアイドルの共演だ!・・・なーんてね。
んーと、そうじゃないんだわ。いや、そういう方向もあっていいんだけど、世界だ世界だとぼくが言っているのは、そっち方向の話じゃないんだわ。だってサブサブタイトルが「さらばビッグビジネス」でしょ?
何百万人集めようとか、何十億円めざそうとか、そういうの、いいんじゃない?もお。つかれね?そういうの。そして、ビッグビジネスにしたがる野望とかおさえたら、世界がちがったものに見えてくるんでね?
あ、ほら、全然話の核に届かないじゃないか。こりゃ次回、じっくりもっと解きほぐす必要があるぞ!ってんで、次回へつづく・・・
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