<Future Ads>ってことはFlashはどうなるんすか?

新シリーズ”iPad Messages”はいくつかのサブサブタイトルで書き分けると宣言した。だから今回は前回とは別のテーマで書いていきたいところだけど、前回の最後で「ひとつ重要なポイントがあった」と書いて終わってしまっていた。そうしたら、@kasttbs さんがさっそくするどいツッコミをTwitter上でくれた。

「とりあえず、この段階でFlashのことは忘れる必要がありますね。」

さっすが、するどい!そうなのだ。iAdについて考えていくと、Flashにはサヨナラだね、ということに気づくのだ。ぼくが最後に書いた「重要なポイント」とはそこだったのだ。バレちゃったから、続きを書かなきゃね。

何言ってるかわかんねえよ、って人は、前回の記事の中のYou Tube映像をもう一度見返してみてほしい。このなかなかステキなNISSANのiAdは、これまでの感覚でいくと、ああFlashで作るんだよな、と受けとめるだろう。

ところがここでハタと気づく。ジョブズはFlash禁止のお触れを出したんだった。だったらiAdの中身がFlashなわけないじゃんか!

WEB広告の制作、とくにキャンペーンサイト、プロモーションサイトの制作は、イコールFlash制作だった。だからWEB制作の会社やチームは、企画を立ててそれをFlashで具現化する、そういう体制を敷いているはずだ。あるいは最近だともともとグラフィックデザインの会社が、WEBデザイナーとFlashづかいの人材を入れて業務を広げてきたりもしただろう。

ところが、これからのデジタル広告制作では、Flashは使われなくなる。おそらく、今年の後半あたりから急激に「Flash使わないでWEB作ってね」という依頼が増えるだろう。

これはえらいことだ。WEB制作のチーム体制やワークフローそのものを、見直さないといけないようだ。

Apple製品を通じてデジタル制作物をブラウズするなんて、シェアで言ったら半分にも何もなってないぐらいだろう。でもそんな状態でもAppleが「Flashは電気食うから使わないんだもーん」と言いだしたら、全体に大きく影響が及ぶ。すごいね、ジョブズって。

ではiAdはどうつくるのだろう。これはぼくにもまだよくわからないけど、たぶんアプリを作る技術か、HTML5ってやつなんだろう。

アプリ作れる人材をクリエイティブ界がいきなり求めはじめるだろう。急募、アプリ開発者。Objective-Cと、あとOpen GLがわかる人、いたらすぐ来てください。正社員で迎え入れます。高待遇です。そんな感じになっていくのだろう。

そういえばぼくはずいぶん前に(なんと2年も前だった!)クリエイターはテクノロジーと手を組め、という記事を書いている。さすがおれだな、先見の明があるぜ、と思ってその記事をよく読むと、事態はもっとちがう局面を迎えている。

2年前の記事でぼくが書いていたのは、クリエイティブ制作をぼくたちが提案する際に、ITソリューションの人たちと組むといいかもね、ってことだった。でもいまぼくたちが直面しているのは、プログラミングの技術がないと、これからのクリエイティブ制作そのものができないのかもしれないってことだ。2年前にぼくがイメージしていたことを、現実は超えてしまっているってことだ。まいったね。

でも前向きに考えると、クリエイターとプログラマーの衝突と融和にこそ、魅力的で新しいクリエイティブの可能性が巻き起こるのかもしれない。

クリエイター(以下ク)「あのさあ、こんな動きをさあ、こんな感じでつけたいんだけど」
プログラマー(以下プ)「なるほど、じゃあこういう状態の絵と、あとこういう動きをコマ割りで描いてください」
ク「だったらさあ、いっそここまでこう動かしちゃった方が面白いかなあ」
プ「それもいいですけど、こうなってこうなるから、こういう動きもできますけど」
ク「うそ、そんなことできちゃうの?だったらここをこうした時にこういうレスポンスもつけられる?」
プ「それは意外とカンタンですよ。だったらいっそここまでこうしておいてこんなレスポンスでも」
ク「あー面白いなあ!わかった!じゃあここをこうしてそれからここを」
プ「なるほどー、じゃあここはこうなって次にこうしてもいいかも・・・・・・・・・・・・」
(いつのまにか夜が明けていく・・・)

こんな感じ。なんか楽しそうじゃない?

思えば、映画という表現が登場した時、ジョルジュ・メリエスが「月世界旅行」を作って、映画にできるありとあらゆることにトライし、トーキーが登場したら、カラー映画が登場したら、CGが出てきたら、そして3D映画の技術が進化したら、その時々でクリエイターは「だったらこんなことできるかなあ」を繰り返してきたのだろう。そうやって”面白いこと”はどんどんどんどん広がっていったんだろう。

面白いことって、無限なんだ、きっと。技術が進むごとに、新しい”面白いこと”が登場する、つくりたくなる。ぼくたちは面白さの欲張りで、あり続けなくちゃね。

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コメント

  1. MAC OSと相性がとんでもなく悪いみたいですね。リソースのやりとりが、なんかむちゃくちゃになるみたいで。前のMACとか、超不安定でした。今年買った奴も、意味不明に終了しますが、確実にFlashのせいです。で、OSを完璧に作り直しか、AdobeがFlashを手直しするか。の2者択一へ。で、どっちも譲らず。ってな感じで、じゃ、Flash使いません宣言。テクノロジーの牽引って、こういうしょうもない喧嘩で、いとも簡単に拍車。ま、おもしろいですが。Flashとかって、中途半端なフォーマットですよね。

  2. FlashがAdobeの手に渡って以来、higekuma3がおっしゃる通りどうもMac OS X用のプレーヤーはバギーな上放置されている事が多かったので個人的には歓迎です>HTML5

  3. テクニカルなことはぼくにはわからないけど、そんなに相性がよくないんですか。みんな仲良くしようよー、って感じですね。でももう、流れはできちゃったなー

  4. 技術的な議論をしつくして、最後決別してるので、どっちかが折れない限り無理ですね。厳密に言うと、Flashは買ってから、元々の開発者クビにしてるだろうから、むちゃくちゃになっていってるし、Mac OSのエンジニアも、iOSのプロジェクトに引き抜かれてエンジニア手薄になってるから、どっちも、どっちですけどね。

  5. iPad Mac OSの話限定ですよ。windows版は、ちゃんとしてると思いますよ。Adobeは、元々、Appleと共に成長してきた会社ですが、途中から、Mac向けを先行販売しなくなりました。そのとたん、製品の販売ロードマップが大幅に変更になり、Win/Mac同時発売とか、Mac版サポートなし。とかそういう販売戦略、つまり、マスを取りに行く戦略に変更になりました。そのあたりからの、濃い確執とかもあるかもしれません。成長した企業の社長は、基本、シャイな粘着くんなので、根が、深いですかね。

  6. > おそらく、今年の後半あたりから急激に「Flash使わないでWEB作ってね」という依頼が増えるだろう。WEBについていえば、僕のまわりではもう既にそうなり始めています。クライアントも、あえてFlashにはこだわらなくなってきました。> でもいまぼくたちが直面しているのは、プログラミングの技術がないと、これからのクリエイティブ制作そのものができないのかもしれないってことだ。そうなんです。バリバリの若手デザイナーに限ったことではありません。今後はアートディレクタークラスでさえ、プログラミング技術をある程度理解出来ていないとプロジェクト計画そのものが立てられない時代になります。印刷技術に疎いデザイナーやディレクターが消えていったように、それはなかなか大変なことに違いはありません。

  7. 1)紙のみの頃Adobe Photoshop, Illustrator,Adlus Pagemaker2)webと紙の素材使い回しの頃上記+Flash Dreamweaver3)web+紙+電子書籍上記+Indesign+ CSS+ HTML5 +UI設計最近では、プログラマーさんに流し込む素材をすべてをデザイナーさんが作ることを要求されているような気がします。素材が、MOの時代は、PS orILL形式で納入したしますみたいなのがありましたけどね〜。デザイナさんに要求する項目は当然、納入形式と制作行程において、増加してるんじゃないでしょうか?出版関係だと、上記の全部できる人だけが、生き残るんじゃないんですかね。すでに、webに近いアプリ制作のデザインの人は、そうだと聞きますよ。

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