ここんとこ、佐々木さんのこととか、『街場のメディア論』とか、このブログの本題からややそれていたかもしれない、と気づいた。やっぱこのブログは、そいでそいで?iPadはどうなるんだろうね?って人が読んでくれてると思うので、そっちに話題を戻そう。
さて前回も書いたけど、iPadが中国で発売されると発表があった。というか、もう発売されたらしい。WiFiモデルのみということだそうだ。
これは大きな出来事ですぞ!
何度か書いてきたけど、アジア市場、とくに中国市場をぼくらは意識しないといけない。まちがいなく成長するわけだし、日本国内のコンテンツ市場がどんどん情けないことになっていくいま、虎視眈々と狙わないといけない。そこでしばらく、”世界戦略”みたいなことを壮大なスケールでお届けしてみたいと思う。
これも何度か書いてきたことだけど、ぼくたちは人口のことをよく考えねばならない。日本はなぜGDP世界2位だったのか。
人口が多かったからだ。いやもちろんそれだけではないけど、人口は大きなファクターだったのだ。
例えばこの、Wikipediaの「国の人口順リスト」を見てみよう。日本は10番目だ。そして順番に並べてみると、中国、インド、アメリカ、インドネシア、ブラジル、パキスタン、バングラデシュ、ナイジェリア、ロシア、日本・・・。アメリカを除くと、先進国(って言い方もどうよ?)ではない。
日本の次ぎにメキシコが1億人、あとは、千万人単位になってくる。G7に入っているような先進国では、ドイツが8千万人、フランス・イギリス・イタリアが6千万人。
日本って人口多い方だったんだ。そしてGDP世界2位ってのも、ひとつにはこの人口も大きかったわけだ。世界2位なんて言われると、世界で2番目に偉かったんだぞ、って気になるけど、そうとも言えない。80年代にはジャパン・アズ・ナンバーワンなんておだてられていい気になってたけど、「でもおめえんとこは人数多いからな」ってイギリスやフランスに影で言われてたかもしれない。
トム・クルーズはどうして主演作のたびに日本に来て朝のワイドショーのインタビューに快活に答えるのか。日本は人口が多くて世界第2の映画興行市場だったからだ。いいお客さんだったのだ。
つまり日本は、東洋のはずれのちっぽけな島国、なんかじゃなかったんだ。いや、ちっぽけな島国ではあるけれど、そこにやたら多くの人が住んでいる国だった。近代化にとって人口と、その密度は大きな要因になる。日本人は勤勉だし、江戸時代から教育レベルも高かった、かもしれない。でも、その上に狭い国土に高い密度で人がいたから、欧米に追いつけ追い越せができたんだ。
そしていわゆるガラパゴス市場も、この微妙な人口の多さが作り上げたといってもいいんじゃないか。
さっき例に挙げた、世界第2の映画興行市場。トップのアメリカは、1兆円弱ぐらいある。日本は2000億円だ。約5倍。5倍も市場がちがう。でも世界第2。そこ、微妙でしょ?なんだか中途半端、じゃない?
アメリカほどじゃないけど、ぼくたち世界第2の市場だもんね。ってことで、世界に打って出る必要性がカラダで感じられなかった。世界に出なきゃやってけないぞ、という必死な空気は生まれなかった。まあ、なんとかやってけるしね、ってんで、国内市場で満足していた。
韓国ドラマがアジアで売られている。国を挙げての取組みをやってきたからだ。なんで?韓国は人口が48百万人だ。映画やドラマをガンガン作っても、国内だけだとやってけないんでね?ってことで、必死で国外に市場を求めた。その成果が出ているわけだ。
そしてようやくいま、霞が関のえらい人たちからそんじょそこいらのサラリーマンのおっさんまで、海外に出なきゃいかんよ、コンテンツ産業だってそうだよ、と言うようになってきた。今年に入ってその空気はイッキに出てきたと思う。
そんなさなかのiPadであり、中国発売、ということだ。これは視野に入れないわけにはいかないっしょ。いよいよ日本のコンテンツが世界に出て行くべき時だ。その象徴的なニュースとして捉えたいところ。
なるほどね、だったら大きなテレビ局とか出版社の人たち、がんばってね、という他人事で済ましてはならんのよ。よし、中国めざそう、世界へ羽ばたくぞ!と、ぼくやあなたが奮起しないといけないんだ。おいらとあんたの世界戦略を練らなくちゃ!
これは決して、そういう意気込みで頑張りましょう、という精神鼓舞で言ってるんじゃないのよ。これからのコンテンツ産業の世界戦略は、大きなメディア企業ではなく、おいらとあんたのレベルで考えないといけないの。だからiPad発売のニュースが象徴的だと言っている。
ということで、タイトルで掲げた本題に入っていくところなんだけど、ここまで長くなっちゃったので、また次回。なんか、人口の話だけで今回終わっちゃったね。ま、更新頻度あげていくからさ・・・
関連記事
2つあって。1つは購買力。2つめは、コンテンツ製作時の配慮。20年ほど前、人口からすると中国だ。という議論があったのですが、はぶらしも購入できない人が、ラジカセは購入できない。っていうのに、気づくのに、相当かかりましたね。で、今は、中国人の購買力どうなんでしょう。2つめ。コンテンツの内容が、中国をばかにしていたり、歴史の事実をゆがめているような番組は、売れない。文化的に反発のあるものは、受け入れられないっていうのがあります。ゲーム映画とかは、そういうのを取り払ったひとつの世界観がありますが、戦闘ものとかは、少し、微妙。私とかは、韓国ものは、NGですね。びっくりするくらいの偶然性は、昔の日本映画「君の名は」のぱくりなので、許すとしても、女性が大口をあけて食事をするのと、彼氏を足でけとばしたりしてじゃれるのは、受け入れがたい。笑
higekuma3コメントどうも購買力はまだわかんないですねえ。でも中産階級が増えているのはまちがいない。13億人の4分の1が日本人並になったらものすごい市場になるんじゃないかと。コンテンツの内容は、中国のクリエイターと共同制作が理想だと思ってます。そういう人を探すとこからはじめないといけないわけで・・・