まだまだ妄想していこう〜iPadから見えるコンテンツの未来・その29〜

昨日は情けない消極的なエンディングとなってしまった。そしたらコメント欄やTwitterでいろんな方から励まされた。なんかそういうコミュニケーションが面白いなあ。うん、そうだね。まだまだはじまったばっかだしね。

ひとつ、弱気になった自分に自分で反論すると、昨日書いたWIREDやTIMEの価格の問題は、アメリカの特殊事情じゃないですか境さんと。国土が広すぎるから雑誌は定期購読で郵送が主流。そうすると一号ごとの単価がすごく下がっちゃう。そんな商慣習の中、iPad版では一冊数ドルの値づけをせざるをえなかった。

日本だと全然ちがうね。

例えばぼくは日経ビジネスや週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済などを月に2〜3冊買う。どれもだいたい600円台だ。日本の雑誌は定期購読はすごく少ないんじゃないかな。駅や書店で気軽に買えるからね。

こういう雑誌を買うとよく感じるのが、なんだか非効率な買い方読み方をしてしまっていること。どれもけっこう濃い雑誌なのだけど、だいたいは特集につられて買うから、その特集だけ買った日にイッキに読んじゃう。第2特集もそのうち読もうとか、他にも興味深い記事があるなあとかその時は思うんだけど、翌日はカバンに入れない。ちょっと重くなるからね。家に置いといて、帰宅したら読もうとか思うのだけど、結局読まない。家のデスクの本立てに並んじゃう。そのうち邪魔になってきて捨てちゃったりする。

この手の雑誌が電子化されたらもっと上手に愛読しそうだ。電子しおりとかつけて”あとで読む”ことにしておいて、土日に思い返して読むんじゃないか。あるいは、読んだ記事のスクラップとか電子的にできたらいいね。実際、仕事に関わる特集は切り抜いてスクラップしておこう、とよく考えるんだけど実行しない。でも資料的に重要なはずで、ちゃんととっておいたら企画書づくりに使えたりすると思う。そんな便利な使い方ができる電子版をつくってほしいな。いや日経BPやダイヤモンド社ならきっとそのうちやるんじゃないかな。期待してます。

こういう話に興味ある人は(そしてiPadを持ってる人は)「Sports Illustrated」のiPad版をぜひダウンロードしてみて。これ、いままでみたiPad雑誌の中でもかなりよくできている。

記事の中で”指を長押し”すると、ホイール状のインタフェイスが登場する。ホイールはいくつかに分れていて、記事についてメールできたりTwitterやFacebookでShareできたりする。そこまでは想像つくけど、もっとすごい。その記事の関連記事や写真を呼び出せる。別ウィンドウが出てきてどうやらWEB版のSports Illustratedの記事や写真をブラウズさせるようだ。

雑誌の価値として、「ストック」ということが電子雑誌では浮上するということだろう。さっき日本のビジネス誌について”スクラップできたらいいな”と書いた。簡単にスクラップできたらいいし、スクラップしなくても過去の記事の関連したものがひょいひょい呼び出せたらホントに便利だと思う。

「ストック」という捉え方はメディアにとって実はいままであまりなかった概念じゃないだろうか。マスメディアはコンテンツを短期的に消費させて運営してきた。日本のコンテンツビジネスにとってストックの発想は、盲点になっていたんじゃないかな。短期的に消費させる、つまり次から次にコンテンツを送り届けてそのタイミングでの購読料や広告料で運営してきた。そういうビジネスモデルだった。それでいいし、少なくとも2000年まではそれで十分儲かっていた。だからストックの価値に目がいかなかったわけ。

テレビ番組なんかもそうなんだ。日本の場合は放送された時にマネタイズしてそれでおしまい。ドラマは最近でこそDVDになったりするけど、他の番組はほんとにほとんど一回だけの放送であとはただのテープになってしまう。アメリカではシンジケーションと呼ばれる番組の2次3次マーケットが確立している。放送は”最初のマネタイズ”に過ぎない。そうすると、一回こっきりではない価値を持つ番組を作ろうとするでしょ。これも一種のストック発想。

電子化はコンテンツのストック価値を刺激していくんじゃないか。そこには何らかのヒントがあると思う。

お、ほら、今日は前向きだね。ということで、コンテンツの電子化から起こりうる新しい価値を妄想していこう。まだまだ、まだまだ、妄想は広げられる。広げた妄想を少しずつ具現化していきましょ。なんか、面白そうじゃない?

[`evernote` not found]
Pocket

トラックバック用URL:

Facebookアカウントでもコメントできます!

コメント

  1. 実体を家に持つ必要もない気がしますね。ネットブックス、ネットラジオ、ネットビデオ、みたいなもんは、回線とDRMが、保証されてて、アプリが端末自動認証してくれれば、ファイルは、クラウドでいいなじゃないのって思います。家の中が、CDだらけになって、うんざりしたように、iPadの中が、音楽や、本だらけになって、そんで、バックアップ作業したり、移し替え作業したりして、結局、同じものを、2度買いしちゃったりすることになる。なので、もう、ダウンロードとかでなく、ストリーミングなのでは、ないかと。

  2. higekuma3さんのビジョンに賛成です。しいて私なりに補足すると、オフラインの利便性は捨て難いので、端末側にキャッシュ機能があるといいですね。じっくり視聴したい中・長時間コンテンツは予め端末にキャッシュしておくと回線状況は気にせずに楽しめる。という感じです。

  3. アップルのHTML5コンテンツをアプリで扱うということは、そんなキャッシュとかユーザは気にせうずに、実現する予定です。コンテンツが、どこにあるかなんか、ユーザ、気にすること自体、不要。ゾマホンは、そうはいかないけどね。スタイラス、早くよこせってか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です